- スペイン語学習での音読の方法を知りたい人
- 何を音読するべきか分からない人
- 音読のメリットを知りたい人
言語は元を辿れば音です。音を理解し使いこなすためには、自分自身が発音することが重要です。
スペイン語で会話すること以外に、独りで音読することも効果的です。
ここでは、音読のメリットや音読の進め方について解説していきます。
スペイン語学習における音読の重要性
スペイン語に限らず、語学において発音できないものは、聞き取ることができません。
知らない単語・熟語フレーズなどは聞き取れませんよね。
また、自分の喋るスピードが聞き取れるスピードを超えることはありません。
例えば、以下はスペインのニュースサイト El País から引用した一文です。
Los especialistas advierten de que si las medidas han funcionado lo que hay que hacer es mantenerlas y no relajarlas porque las cifras son aún muy mala.
El País, El estado de alarma tarda cuatro semanas en reducir la incidenciaより引用
この一文をスラスラ読めない人が、ニュース番組にてこれを聞き取れるでしょうか。おそらく無理でしょう。
読めない、話せないなら、聞き取れる訳がないのです。
しかし、これは逆に捉えると発音できるようになると聞き取れるようになるということです。
つまり、音読法はリスニング力向上に繋がるので、おすすめの学習方法の一つです。
音読のメリット
音読のメリットは5つあります。
- リスニング力が上がる
- 正しい発音が身につく
- 語彙力が上がる
- 文法構造が理解できる
- 文章の先を予測できる
メリット1:リスニング力向上
前項でも述べましたが、音読をすることで、リスニング能力が伸びます。音を発することで、その音を自分自身が聴くことができるからです。
つまり、「話す」ことが「聴く」に繋がるということです。
最近では、音読によって黙読のスピードも上がった気がしています。
メリット2:正しい発音が身につく
スペイン語は基本的にはアルファベットをローマ字読みすればいいので発音しやすいと言われています。
ただ漠然と音読するのではなく、発音記号を意識しながら音読することで、正しい発音を身につけることができます。
音読と並行してラジオやポッドキャストなどでネイティブのスペイン語を聴くとより効果的です。
メリット3:語彙力向上
音読を繰り返す中で出会う単語や熟語表現などは記憶に残りやすくなります。
単語帳を用いて、無機質に単語をひとつずつ覚えていく方法よりも、文章を読むことを通して必要な単語を覚えていく方法の方が効率的で面白いです。
もちろん、スペイン語初心者は長文を読むのが難しいですので、単語帳を音読して覚えた方が効率的です。
メリット4:文法構造が理解できる
1回目の音読では理解できなかった箇所も繰り返し音読することで、全体像が見えてきます。
これは単語の意味が推測できたり、文法構造を理解できてきた証拠です。
- このque節はどこにかかっているのか。
- どれが主語なのか。
- どうして動詞が未来形(不定詞、接続法現在…)なのか。
- この形容詞はどれを修飾しているのか。
疑問に思ったことは心に留めておいて、ひとまずスラスラ音読できるようにしてみると、1回目の音読の時よりも、1歩前に進んでいることを実感できます。
文の構造が見えた途端、成長を実感できますよ。
メリット5:文章の先を予測できる
実際音読をしていると、自分が音読している箇所の”ちょっと先”に「次はこれがくるな」と先読みできます。
すらすら読むためには、自分が発音している箇所のちょっと先を、目で確認する必要があるからです。
son completamente を読んでいる間に”ちょっと先”の autónomos, capaces de circular… くらいまで見れると、次にくる音が分かるわけですから、スムーズに読めます。
音読する時のポイントは『常に先を捉える』としてもいいかもしれませんね。
動詞の後ろには、基本的には目的語、前置詞や動詞の意味を強める副詞などが来ます。
上の例文では動詞 ser がありますが、この動詞は名詞・形容詞と一緒に用いられることが多いので、「名詞かな?形容詞かな?」と予測することができます。
つまり、何度も音読をしていると、文法構造を理解でき、先を予測することができるようになります。
スペイン語学習における音読のやり方
音読は3ステップで進めていきます。
音読をする際は、自分の学習レベルを意識して、音読すべき素材を見定めます。
単語→フレーズ→短文→長文のステップアップを意識していきましょう。
学習レベル | 音読対象 | 音読素材 |
---|---|---|
スペイン語学習を始めたばかり | 単語・フレーズ | 単語帳 |
初級文法に不安がある | 短文 | 単語帳・問題集・辞書 |
ある程度学習が進んでいる | 長文 |
初心者がいきなり長文を読もうとしても、知らない単語のたびに止まってしまいます。
そのため、初級文法(直説法〜接続法まで)に不安がある方は、単語・短文の音読から始めましょう。
単語の音読とは、単語帳を用いてスペイン語単語を正しい発音で声に出すことです。
短文の音読は、問題集・単語帳・辞書などに掲載されている例文で行うといいでしょう。
スペイン語の文に慣れてきたら、長文を積極的に読みましょう。
長文を読みたい人にオススメできるのはネットニュースです。
ニュースは、どんどん更新されていきますし、自分の興味のある記事を読むことができます。
El Paísの記事はスペイン語検定DELEで引用されることもあるので、スペイン語学習に適していると言えます。
他にもPODCASTを配信しているものなど、広告なしの公営のものなどいろいろありますので、自分のお気に入りを見つけてみてください。
筆者はいくつかのニュースサイトをリーダーサービスFeedlyに登録しておいて、時間が空いた時に記事をチェックするようにしています。
自分が音読する素材が決まったら、声に出しましょう。
すらすら読めるというのは、一度も突っかからないということです。
音読を始めるにあたって、次の4点を意識しましょう。
- 毎日継続すること
- 時間を測る
- 単語を調べながらやらない
- 普段よりも大きい声量で行う
音読は毎日継続しましょう。10分でも継続することが大事です。
1日でも音読をやらない日があると、人生ゲームでいう「ふりだしに戻る」感覚に陥ります。
1日休むと3歩ほど後退します。頑張り過ぎなくていいので、1日1歩着実に進んでいきましょう。
時間を測ることで「前の自分と競争する」という状況を作りましょう。
これによって、前の自分に勝つために緊張感が増し、モチベーション高く音読に望むことができます。
また、音読スピードを数字として記録しておくと、客観的に自分の成長を実感できます。
たとえ知らない単語があって文章の意味が分からなくても、すらすら読めるようになるまでは辞書等で意味を調べません。
逐一、単語や表現を調べてしまうと疲れちゃいます。
すらすら読めるようになったら、知らない単語でも意味を推測することができます。少なくとも品詞は分かります。
試験でも知らない単語があっても辞書で調べることはできません。
最初は「この〇〇はどんな意味だろう…。」くらいの感覚でいいと思います。
知らない単語ばかりの場合は、単語の意味を推測することもできません。その素材は自分のレベルにあっていないと判断して、別の音読素材を探しましょう。
音読では声をしっかり出しましょう。
普段会話している声よりも少し大きいくらいを意識するといいでしょう。
ボソボソと声を出していても音読としては全く意味がありません。
口や舌の形をスペイン語に慣らすためには、その口や舌を十分に動かす必要があります。これはスポーツの基礎練習と同じです。
すらすら読めるようになったら、語彙の補充を行っていきます。
どうしても理解ができない箇所の単語もしくは熟語表現を辞書や単語帳などで調べます。
調べる語彙は5つだけに絞り、その5つは確実に覚える意識を持つといいでしょう。
記事内の全ての単語や表現が理解できている状態なら、文章のレベルを上げましょう。
次のレベルの長文に挑戦できるはずです。
まとめ
最後に、この記事をまとめます。
音読は、自分の声がダイレクトに聞こえてくるので少し恥ずかしいと思いますが、得られる効果は絶大ですし、何よりやっていて楽しいですのでチャレンジしてみてください。
音読は正しく教材を選ぶことができれば、非常に効果的な学習方法です。
以上です。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。