- スペイン語で「〜できる」と言いたい人
- Poder と Saber の違いを知りたい人
スペイン語の動詞PoderとSaberは、どちらも不定詞を伴って「〜することができる」という意味を持ちます。
スペイン語学習初期は「〜することができる」という表現に全て Poderを使ってしまいます。
日本語にすると同じに見えてしまいますが、使う状況やニュアンスが異なります。この記事で、2つの違いを理解して使い分けできるようにしましょう。
PoderとSaberの意味
まずはPoderとSaberのそれぞれの意味を確認しましょう。
Poder+不定詞
Poderの意味には以下のようなものがあります。
- 【可能】〜することができる
- 【許可】〜してもいいですか
- 【禁止】〜してはいけない(否定)
- 【可能性】〜かもしれない・〜であるはずがない(否定)
- 【依頼】〜してくれませんか(疑問文)
- 一般的に〜できる
Poderはさまざまな用法を持っていますが、その中でも今回話題にしたいのが「可能」の用法です。
関連 Poderの意味と使い方を10の例文で理解【スペイン語】
基本的には 『Poder+不定詞』の形で助動詞のように用いられます。
poder は「ある状況下での可能性」を示します。言い換えると、「ある状況において、できるかできないか」を言及するときに使います。
Te voy a explicar lo que está diciendo para que puedas entenderlo más.
彼が言っていることを君に説明してあげるよ、もっと理解できるように。
後半の para que puedas entenderlo más が該当箇所です。「それをもっと理解できるように」という意味です。ここは、話し手の相手(君)に対して、説明を試みようとしている場面です。
状況 彼の言っていることをあまり理解していない君が
可能性 理解できるように
その状況で「できるかどうか」について述べているのでpoderを用います。
もし、puedasがsepasだったら、次のような感じになってしまいます。もちろん、saberを使う適切な状況ではないので、無理矢理な感じはありますが。
Te voy a explicar lo que está diciendo para que sepas entenderlo más.
彼が言っていることを君に説明してあげるよ、もっと理解できるように(君には学習能力がないから)
後述しますが、Saber+不定詞は「学習などによって習得した技能や能力」を示します。
したがって、上の例文のように「(彼が言っていることを)理解する能力が欠けているので、その能力を身につけるために」というようなニュアンスになってしまいます。
Saber+不定詞
- Saber + algo 〜を知っている
- Saber + que 直説法 〜であることを知っている
- Saber + 不定詞 〜することができる
- Saber + de algo 〜について知っている
- saberse 知り尽くしている(強調)
一方、Saber にも Saber+不定詞「〜することができる」という用法があります。
関連 Saberの意味と活用を10の例文から学ぶ【スペイン語】
Poder とは異なり、Saber+不定詞は「学習などによって習得した技能や能力」を示します。
Ella sabe correr más rápido que yo.
彼女は私よりも速く走れる。
sabe correr が該当箇所です。日本語にすると「走ることができる」となりますが、ここでは能力として早く走れることを意味します。
ここでのSaberは他動詞として働き、 不定詞のcorrerが目的語になっていると考えます。
Saber + 不定詞の考え方
他動詞 saber 目的語 correr
- [走ること]を知っている
- 走ることを練習によって習得している
- 走ることができる
- 走ることを練習によって習得している
もし、例文中のsabeがpuedeだったら、次のような感じになります。
Ella puede correr más rápido que yo.
彼女は私よりも(今)速く走れる。
puedeになると「ある状況下で」というニュアンスが加わります。つまり、「普段はどうか分からないけど、今体調などの何らかの状況では彼女は私よりも早く走れる」というような意味になります。
PoderとSaberの使い分け
PoderとSaberのそれぞれの意味について述べてきました。
それぞれニュアンスも違えば、助動詞としての働きと他動詞としての働きを見たように、そもそも構造的に違います。
まとめると以下のようになります。
ある特定の状況下での可能性
Tener potencia de hacer algo
Real Academia Españolaより
Poder は助動詞的に不定詞を導く
学習などによって習得した能力
Tener habilidad o capacidad para hacer algo
Real Academia Españolaより
Saber は他動詞なので目的語として不定詞を導く
ここからは、PoderとSaberを使い分けるにはどうすればいいかを考えていきます。
違いが分かっても、状況ごと使い分けができないと意味ないですよね。
Poder と Saber の使い分ける時は『習得した能力なのかどうか』を考えれば良さそうです。
Puedo caminar yo mismo hasta el hospital. No te preocupes.
自分で病院まで歩けるよ。心配しないで。
確認 怪我をした際に「歩くことができる」かどうかは、能力の話ではないためpoderとなる。
Mi cariño de un año de edad ya sabe caminar.
私の1歳の赤ちゃんはもう歩けるよ。
確認 赤ちゃんが「歩くことができる」のは、習得によるものなので saber となる。
A:¿Sabes jugar al futbol?
B:Sí, sé jugar al fútbol porque yo pertenezco al club local desde cuando era niño. Pero ahora no puedo jugar por el esguince de tobillo.
A:君はサッカーできるの?
B:できるよ。小さい頃から地元のクラブチームに所属しているからね。でも、今はくるぶしの捻挫でできないよ。
確認 会話前半の「サッカーできるか」のやりとりは能力の話をしているのでsaberになるが、怪我という状況により「できない」ことは、能力の話ではないためpoderとなる。
まとめ
記事の内容をまとめます。
以上です。ここまで読んでいただきありがとうございます。
この記事で、少しでもスペイン語への理解が深まったら嬉しいです。