この記事では、スペイン語文法において『現在分詞』の使い方がよく分からない人に向けて、基礎的な部分を説明していきます。

・元高校数学教師
・JICA青年海外協力隊OV(パナマ隊員)
・久米島の地域おこし協力隊員
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現在分詞とは

スペイン語の動詞は活用されることで『時制・人称・数・法』の4点を示しますが、動詞にはこれらを示さない非人称形があります。以下の3つをまとめて『不定形』と呼びます。
不定詞・現在分詞・過去分詞
現在分詞は非人称形の一つです。基本的に動作や状況が継続していることを示すので、『未完了分詞』と呼ばれることがあります。別に『現在』を表現しているわけではありません。しかし、ここでは『現在分詞』の方が広く知られているので、こちらで説明していきます。
現在分詞の作り方【規則形】

動詞には3種類(-AR,-ER,-IR)がありますが、-AR,-ER,-IRの部分をそれぞれ-ando, -iendoのように変更します。
Hablar ▶︎Hablando
Comer ▶︎Comiendo
Vivir ▶︎Viviendo
現在分詞の作り方【不規則形】

上の表で不規則形は網羅できていると思います。観察すると分かりますが、不規則形をとるのは-ER動詞と-IR動詞しかありません。不規則の形は大きく分けて3種類あります。
✔︎ e → i 形
✔︎ yendo 形
✔︎ o → u 形
✔︎ e → i 形
e → i 形は動詞中のe がi に変わるという意味です。観察してみましょう。
Decir → Diciendo
Venir → Viniendo
Pedir → Pidiendo
途中が変わるだけで、後半は規則形と同じで-iendoになります。
✔︎ yendo 形
yendo 形は-iendoのiがyになっているものです。例を見てみましょう。
Ir → Yendo (× Iendo)
Leer → Leyendo (× Leiendo)
Construir → Construyendo (× Construiendo)
このyendo形は発音の関係で、このような不規則の形になったと推測します。発音しやすい形に変えているということです。
✔︎ o → u 形
o → u 形は動詞中のoがuに変わるという意味です。重要なのは3つ。
Dormir → Durmiendo
Morir → Muriendo
Poder → Pudiendo
これもe → i 形と同じで、後半は-iendo になります。
現在分詞の意味とその用法
現在分詞は実はめっちゃ便利です。なぜなら、現在分詞=副詞句と考えられるからです。これによって、表現の幅が広がります。用法は大きく分けて2つあります。
進行形を作る
特定の動詞とくっついて『進行形』を作ります。基本は『Estar + 現在分詞』で「〜しているところです」。進行中の動作を強調したいときは、進行形を使います。
✔︎ Estar + 現在分詞 | 〜しているところだ |
✔︎ Seguir(Continuar) + 現在分詞 | 〜し続けている |
✔︎ Andar + 現在分詞 | 〜し回っている |
✔︎ Ir + 現在分詞 | だんだん〜している |
✔︎ Venir + 現在分詞 | 〜してきている |
副詞的用法
スペイン語では日本語に比べると、語順は自由です。現在分詞は副詞的用法があるので、文中において自由に配置できます。「〜しながら」という同時進行の意味を表したり、「〜して」のように手段を表したりします。
Me gusta mucho ver la película comiendo palomitas en el cine.
映画館でポップコーンを食べながら、映画を観るの が大好きです。
解説
後半部分にcomiendo がありますね。comiendo 以下が副詞句になります。Me gusta mucho ver la película だけでも意味は通じますが、例文のように副詞句を添えてあげると表現に幅が広がります。同時進行の何かを「〜しながら」という表現を付け加えることができます。
Yo aprendo español leyendo el periódico.
私は新聞を読んでスペイン語を習得します。(私は新聞を読みながらスペイン語を習得します。)
解説
これも前半部分のYo aprendo español だけでも意味は通ります。それの手段として「新聞を読むこと」を広範に付け加えています。これは同時進行「〜しながら」と考えてもいいです。
以上です。現在分詞は『進行形』を作るものと考えられがちですが、動詞を副詞化したものと考えると、非常に実用的な文法表現であることが分かります。