JICAボランティアへの参加をあと押しした3つのこと
この記事は、JICAへの参加に踏ん切りがつかない人に「こんな理由の人もいるよ」っていうことを知ってもらって前に進んでもらうために書きます。筆者は、ある3つの事柄があったためにJICAボランティアに参加を決めました。
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筆者は2019-1次隊として『数学教育』という職種で、2019年7月よりパナマ共和国で9ヶ月間活動をしました。残念ながら、感染症の影響で2020年3月に一時帰国をして、8月にはJICAとの契約を解除しました。
JICAボランティアに参加しようと思った理由
理由を述べていくために、簡単な自己紹介をします。
地元の大学を卒業後、6年間高校で数学教師として働き、その後転勤のタイミングで一時休職をして、青年海外協力隊に参加しました。2年間いくつもりでしたが、9ヶ月で一時帰国をし、4ヶ月間の待機期間をした結果、『辞退』という道を選びました。そして、その後休職していた教職も辞めました。
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この記事をお読みの人は、少なくともJICAボランティアに興味を持っていると思います。参加の動機は人ぞれぞれなので、なんでも良いと思います。それよりも、どんな活動をして、何をもたらし、何を得たかが大事です。
筆者が参加した理由は、いくつかありますが、正直全てがボジティブなものではありません(もちろん、表向きにはそんなこと言ってません)。理由は3つあります。
教員という仕事に限界を感じていたための『逃げの選択』
***少しネガティブな面を書きます。あまり好きではない方は先に謝っておきます。
正直これが一番の理由です。長野県で6年間教員として働いてきましたが、心身ともに悲鳴を上げました。小さい頃からなりたかった職業をこのまま定年まで(定年がいつになるのかわかりませんが)働けられるのか考えた時に「無理だ」と思ったのです。
日本の先生方は、本当によく働いていて、自分の時間を顧みずに『子どもたちのため』という魔法の言葉を持って、無限に働きます。もちろん、全然働かない人もいます。教師に『定時』という言葉はありませんし、残業代なんて出ません。給料も雀の涙です。やりがいはありますが、やりがいだけでは人生やっていけません。
そんな時に思ったのが「この先自分の家族を持った時に、その家族と十分な時間を取ることができるだろうか」ということです。毎日朝8時から夜9時10時まで(遅い時は夜11時すぎることもあった)働いて、休日は部活動指導。長期休み期間中は補習などもあり、正直自分の時間はほとんどありません。これでは、自分の家族との時間を確保できません。もう一度言いますが、残業代は出ませんし、部活指導の手当ても1日3000円です。
そこで『退職』という選択肢が生まれました。
しかし、皆さんご存知のとおり、教員になるには4年生大学を卒業してそれぞれの自治体(長野県なら長野県教育委員会)の採用試験に合格しないといけません。筆者は経済的にあまり裕福とは言えない家庭で育ちました。大学の入学金や授業料は母親が出してくれて、今思えば大金だったなと思います。大学では生活費のために奨学金を借り、ルームシェアをしてできるだけ少ない賃金で生活をし、アルバイトをしてなんとかやりくりしました。
厳しい授業や教育実習を乗り越えたからこそ、なれた教員。両親の援助があったからこそ、なれた教員。
それをあっさりと手放して良いのか、すごく悩みました。その選択で良いのかと。その時に新たな選択肢として出てきたのが『JICAボランティアに参加すること』でした。自分のこれまでの教師としての経験を全て、海外の人のために置いてきて、はじめて次のステージに進める。そう思いました。
自分の視野を広げるため
2つ目の理由は、自分の狭い価値観を壊しにいくためです。大学は教育学部で、仕事も学校でしか働いたことがなかったら、価値観も狭まります。自分の知っている世界が狭いなと感じました。ここら辺は、勉強好きがそうさせているのかもしれませんが、もっといろんなことを知りたい、やってみたいと思いました。
そのきっかけは、職場にいた1人の先生です。某有名企業の人事部長も務めたこともある人が、当時同じ数学科で、多くの刺激をもらいました。私がいわゆるミニマリストなのもその先生の影響です。
その先生は、企業視点で学校現場にある“無駄“を指摘して、その姿、思考は非常に勉強になりました。この人の影響で、一つのことに固執していてはダメだ、もっと自由にやりたいことをやって視野を広げていかないとダメだと考えるようになりました。
日本の学校現場を批判できるのは、その現場を知っている私たち教員(私はもう違いますが)だけです。そこで働いたことのない人たちが批判なんてできるはずがありません。だから、部外者が「学校はブラックだ」っていうのは間違っている。
「労働時間が長い」とか「給料が安い」、「それなのに教員一人ひとりが抱える責任が重すぎる」などの批判をするには、日本の現場しか知らない、視野が狭い僕には、まだ早いなと感じました。
だからこそ、一旦海外の教育現場を見てみることは、十分価値があると思いました。
同じ境遇の親友の存在
当時友達がブラジルに日系社会青年海外協力隊として派遣されていて、活動中の話を聞いたり、時には相談を受けていたので、JICAがすごく身近にありました。何か行動を起こすのには“きっかけ“が必要ですが、筆者にとってのきっかけは彼の存在でした。
気がついたら、校長室でJICAボランティアに参加することを伝えていました。
さいごに
もしこの記事を読んでくださっている読者がJICA参加を迷っているのであれば、少しだけ後押しをしたいと思います。
迷っているなら行くべきです。コロナの影響で、人生設計が狂った人もいると思いますが、それでも参加する価値は十分あります。うまくいってもいかなくても、全て自分の財産になります。
参加理由なんて、本当になんでも良いです。それよりも何をして、何をもたらしたか、何を得たかが大事です。