JICA海外協力隊OVが語るパナマの教育現場【日本との違い】

パナマ 教育現場
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想定している読者
  • パナマの教育現場について興味のある人
  • JICA海外協力隊として、パナマにいきたいと考えている人
  • パナマで教師になることを検討している人

記事の信頼性

筆者は、高校教師として6年働いた後、休職をしている間、JICAの青年海外協力隊として、パナマでボランティア活動をしました。職種は数学教育で、スペイン語で現地の小中学生に数学を教えたり、同僚に授業改善のためのアドバイスを行いました。

コロナウィルスの影響で、活動を断念することになりましたが、9ヶ月間活動した中で見えたパナマの教育現場についてまとめておきます。

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パナマと日本の教育現場の違い

実際にパナマの教育現場で働いてみて、見えてきたことがたくさんあります。日本との違いはザッと以下の通りです。思いついた順で書いていきます。

日本の教育現場との違い
  • 教員採用試験はない
  • 小学校の先生は、高卒でなれる
  • 小学校の就業時間は午前中(中学校は午後の場合が多い)
  • 残業しない
  • お菓子と牛乳の配給がある
  • 地方の学校は窓が閉められない
  • 秘書が事務仕事をほぼ全て行う

ここには他にもたくさんあります。もっと知りたい場合は、Twitter(@CaminandohaciaY)にてDMを送ってもらうか、お問い合わせページにてコメントください。

教員採用試験はない

パナマでは、学校の先生になるのに日本で言う教員採用試験はありません。日本では、学校の教師になるためには基本的には以下の手順をとります。*通信で免許を取得することもできます。

日本の教育現場
  • 大学で教育実習を行い、教員免許状を取得して卒業する
  • 各自治体が行う教員採用試験を受験し、合格する

それに対して、パナマでは”採用試験”そのものがありません。これによって、何が起きるか。学校を卒業するだけで、教員になれてしまいますので、学力が保証されていません。教員採用試験がないことが、学力が低い教員が多い原因の一つです。

小学校の先生は、高卒でなれる

前項でも確認しましたが、日本の教員になるためには、その専門性を確保する目的で”大学卒業”が必須になっています。そのうち、大学院卒が最低条件になるかもしれないとも言われています。

しかし、パナマでは高校を卒業すると小学校の先生として働くことができます

これが直接な原因とは言えませんが、専門性に欠ける小学校教諭が多くいます。例えば、分数の計算ができなかったり、中には九九が怪しい先生もいました。だからこそ、JICAのボランティアが派遣されるわけですが。

小学校の就業時間は午前中(中学校は午後の場合が多い)

学校にもよりますが、基本的には小学校の就業時間は7:00〜12:00です。中学校の就業時間は12:30〜18:00です。と言っても、時間通りに行われることはほとんどなく、始まりが遅かったり、終わりが少し早かったりします。チャイムは日本のように自動的になるわけではなく、時間になったら秘書が手動で鳴らします。

筆者の配属先は小中学校でしたので、午前中は小学校、午後は中学校、と入れ替わりがあります。

小学校の先生は、12時過ぎたら退勤します。午前中の出勤で、手取りが大体13,4万。日本の教育現場と比べたら、就業時間は半分以下で、給料は65%くらい。

逆に、中学校の先生は12時過ぎに出勤し始め、12:30から授業を始めます。

ちなみに、月曜日は小中学校の授業開始前に国歌を歌います。日本では見られない光景です。

残業しない

日本の教育現場では、問題になっている残業、超過勤務。パナマの教育現場ではこれは一切ありません。時間になったら、すぐに帰ります。これは、仕事よりも家族との時間を大事にしている文化が基になっていると思います。日本の未来を担う子供たちのために夜遅くまで仕事することが多い日本と、何よりも家族のことを優先して残業をしないパナマ、考えさせられます。

お菓子と牛乳の配給がある

小学校・中学校では、毎日全ての生徒に対して、栄養補給の目的でビスケットと牛乳の配給があります。写真をとり忘れましたが、4〜5枚のビスケットが入った袋と200ml程度のパックの牛乳です。配給元は教育省です。日本で言う、文科省。

パナマでは経済格差が大きいので、十分に栄養が摂れていない子どもたちにはありがたい配給ですが、手も付けずに捨てる子どももいました。子どもたちには教科書が与えられない現状があるので、教育省のこの政策には疑問でした。

地方の学校は窓が閉められない

閉められないと言うと意味がわからないかもしれません。そもそも教室の作りが違います。写真を見てもらえば分かりますが、風が通るように穴が空いているだけです。そのため、外から教室の中が見ることができますし、廊下で喋っている声が丸聞こえでした。

秘書が事務仕事をほぼ全て行う

日本の学校にも事務室はありますが、校長先生直属の秘書はいません。少なくとも、校長の代わりに全ての書類を作成する秘書はいません。秘書の仕事は、学校訪問者の対応・書類作成・印刷対応など多岐にわたります。

印刷対応ってなんぞって思うかもしれませんが、パナマでは子どもが事務室にコピーをしにきます。それも、先生が授業で使うものを先生の代わりにコピーしにきます。秘書は1ページ5円を集金し、生徒の代わりにコピーを行います。

驚いたのは、ほとんどの先生は普段コピーをしないのでコピー機を操作できなかったことでした。秘書の方が仕事量も多いし、能力的にも優秀なのに給料は低いという実態。いろんな意味で大変です。

勝手にコピー機の言語を日本語にして、怒られたのはいい思い出。

最後にありえないと思うことを一つ。

成績処理について。成績を決めるのは各先生ですが、日本でいう”通知表”に記載していくのは全部秘書が行います。責任の所在が不明でした。

  • 教科担当が書類に手書き
  • 秘書がPCに入力(保存のため)
  • 秘書が通知表に手書き

これらの業務をPC上で全て行い、クラウドで共有ができればそれだけで、年度末業務が大幅に減らせるのに、リソースが足りていないことでなかなか難しい現状がありました。

以上です。ここで紹介したものは、一部に過ぎません。JICAのボランティア活動については、別の記事で紹介したいと思います。

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