全国通訳案内士の試験科目や日程を分かりやすく解説!【スペイン語学習者向け】

全国通訳案内士 試験
想定している読者
  • 受験するか未定だが、とりあえずどんな試験なのか知りたい人
  • 出願要項が複雑で分かりにくい人
  • スペイン語通訳の国家資格にはどんなものがあるのか探している人

スペイン語を勉強する目的として『将来スペイン語で通訳できるようになりたい』と考えている人も多いのではないでしょうか。

多くの人が『スペイン語で仕事をする』=『翻訳・通訳・講師』などと思い浮かべると思います。

この記事では、スペイン語学習者に対して、言語の国家資格である『全国通訳案内士』について紹介します。

細かく記載されている要項を簡潔にまとめたものですので、実際に出願する際は必ずJNTOの公式サイトで要綱を確認してください。

記事のまとめ
  • 全国通訳案内士とは報酬を得て、通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内)ができる者
  • 通訳というよりも外国語ガイド
  • 1次試験の試験科目は以下の5つ
  1. スペイン語
  2. 日本地理
  3. 日本歴史
  4. 一般常識
  5. 通訳案内の実務
目次

全国通訳案内士とは

専門性の高い外国語ガイド

全国通訳案内士とは報酬を得て、通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内)ができる者のことです。

国家資格に合格し、都道府県に登録を行うことで、全国通訳案内士を名乗ることができます。通訳というよりも外国語ガイドと考えるといいでしょう。

専門性が求められる国家資格のため、非常に難関な資格になります。

下の表は、ここ7ヵ年のスペイン語での全国通訳案内士試験受験者の結果です。

項目受験者数1次合格者数1次合格率2次受験者数2次合格率最終合格者数合格率
202299人19人19.8%22人72.7%16人16.2%
2021117人19人17.3%26人50%13人11.1%
2020129人15人11.9%17人52.9%9人5.1%
2019190人19人10.2%22人81.8%18人9.5%
2018193人32人16.8%32人71.9%23人11.9%
2017236人36人15.6%40人90%36人15.3%
2016253人66人26.4%68人86.8%59人23.3%
JNTO公式より作成

特に、1次試験の合格率が20%以下であることから筆記試験の難易度が高いことが分かります。

合格者はその年度の2月上旬の官報に掲載されます。

年々受験者数が減ってきているのも気になります。

全国通訳案内士と地域通訳案内士との違い

特定の地域内において、報酬を得て、通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内)ができる、地域通訳案内士という資格もあります。

地域通訳案内士として活動をするには、各自治体が行う研修受講を通じて登録をする必要があります。

地域通訳案内士は、全国通訳案内士が大都市に集中している現状を踏まえて、新たにできた制度です。

求められる外国語レベルは全国通訳案内士よりも若干低く設定されており、その反面、その地域の歴史や地理、文化により精通していることが求められます。

令和2年7月時点の制度導入地域は以下の通りです。地域によって、対応している外国語が異なります。ぜひ、お住まいの自治体を調べてみて下さい。

平成30年1月4日の法改正により、資格を有さない方であっても有償で通訳案内業務を行えるようになりましたが、その場合、全国通訳案内士に類似する名称を使用することはできませんので注意して下さい。

全国通訳案内士の試験内容

以下からは試験科目『外国語』をスペイン語として解説していきます。

試験は筆記試験(1次試験)と口述試験(2次試験)の2つが設けられています。

筆記試験(1次試験)

試験科目
  • スペイン語
  • 日本地理
  • 日本歴史
  • 一般常識
  • 通訳案内の実務

試験科目は上記の5つになります。筆記試験の合否判定については、科目ごとに合格基準点を設定し、すべての科目について合格基準点に達しているか否かが判定されます。

スクロールできます
科目試験時間出題形式出題内容合格基準
スペイン語120分記述式読解問題2題(40点程度)
和訳問題1題(20点程度)
西訳問題1題(20点程度)
外国語での説明問題1題(20点程度)
70点/100点
日本地理40分マークシート日本地理についての主要な事柄(40問程度)70点/100点
日本歴史40分マークシート日本歴史についての主要な事柄(40問程度)70点/100点
一般常識20分マークシート現代の日本の産業、経済、政治及び文化についての主要な事柄(20問程度)30点/50点
実務20分マークシート観光庁研修のテキスト内から(20問程度)30点/50点
JNTOより作成

高い語学力だけでなく、歴史や文化などの専門的な知識も求められます。

試験科目の免除

条件を満たす受験者は、出願の際に試験科目の免除申請をすることができます。

スクロールできます
試験科目免除条件添付書類
スペイン語西検1級合格証書もしくは合格証明書のコピー
スペイン語DELE C1
DELE C2
DELE Superior
のいずれか
Diplomaのコピー
日本地理総合•国内旅行業務取扱管理者
一般•国内旅行業務取扱主任者
一般•国内旅行業務取扱主任者認定証保有者
のいずれか
合格証書のコピー
日本歴史歴史能力検定日本史1級
歴史能力検定日本史2級
のいずれか
 合格証明書のコピー
日本歴史大学入試センター試験* 日本史B60点**以上試験成績通知書のコピー
入試センターの得点を示す書類
のいずれか
一般常識大学入試センター試験* 現代社会80点**以上試験成績通知書のコピー
入試センターの得点を示す書類
のいずれか

免除のための条件をみて貰えば分かるように、なかなかハードルは高いでしょう。また、前年度の合格した科目については当該科目を免除できるので、積極的に申請していきましょう。

口述試験(2次試験)

口述試験は筆記試験を合格した方のみ受験資格が得られます。

試験のイメージとしてはスペイン語+観光資源についての知識をもって、実際に外国語ガイドするという感じです。

口述試験の出題内容としては、観光資源に関連する地理や歴史、文化についての事柄のうち、外国人観光客の関心の強い事柄です。
参考 口述試験レポート(外部サイト)

2次試験の試験内容
  • 質疑応答問題
  • テーマプレゼンテーション

質疑応答問題では、試験官が読み上げる日本語をスペイン語に訳し、その問題文に関連した質疑応答をしていくものです。読み上げる問題内容については、メモを取ることを認められています。

テーマプレゼンテーションでは、提示される3つのテーマから受験者が1つを選び、スペイン語で説明を行い、そのテーマについて試験官とスペイン語で質疑応答を行います。

評価項目と合格基準

5つの評価項目
  1. プレゼンテーション
  2. コミュニケーション(臨機応変な対応力、会話継続への意欲等)
  3. 文法及び語彙
  4. 発音及び発声
  5. ホスピタリティ(全国通訳案内士としての適切な受け答え等)

具体的な評価基準については不明ですが、上記の項目について7割に達していれば合格となります。

出願要項によると、合格基準は原則として7割と記載があります。

例えば5項目中3項目が満点でも、他の2項目が極端にできていない場合は、7割を超えていても不合格の可能性があるということだと思います。

どれかがズバ抜けてできているではなくて、平均的に高評価を取る必要があると解釈しておくといいかと思います。

試験スケジュール

参考までに2020年度の流れを紹介します。

2020年度試験スケジュール
  • 願書配付・受付: 2020年 6月 1日(月)~ 6月 24日(水)
  • 筆記試験:2020年 8月16日(日)
  • 筆記試験合格発表:2020年 11月 5日(木)
  • 口述試験: 2020年 12月13日(日)
  • 最終合格発表: 2021年2月 5日(金)

6月に申し込み▶︎8月に筆記試験▶︎12月に口述試験▶︎2月に最終発表ということになります。

試験会場

筆記試験と口述試験それぞれで試験会場が分かれています。スペイン語に関しては試験会場は以下の中から選択となります。

筆記試験口述試験
東京近郊
大阪近郊
福岡市
札幌市
仙台市
名古屋市
広島市
沖縄県
東京近郊

他の外国語および2ヶ国語受験をする者は、選択できる試験会場が異なりますので、各自出願要項を確認して下さい。

出願後の受験地の変更はできないので注意が必要。

対策問題集・参考書

JNTO公式サイトにて、過去5年分の過去問が公開されていますので、まずはそちらを全てダウンロードして問題の出題傾向と対策の仕方を考えてみましょう。

本試験は5科目と多岐に渡りますので、専門の問題集での対策が必須となるでしょう。

まとめ

記事の内容をまとめます。

記事のまとめ
  • 全国通訳案内士とは報酬を得て、通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内)ができる者
  • 通訳というよりも外国語ガイド
  • 1次試験の試験科目は以下の5つ
  1. スペイン語
  2. 日本地理
  3. 日本歴史
  4. 一般常識
  5. 通訳案内の実務

スペイン語の学習目的の一つとして、全国通訳案内士に挑戦してみてはいかがですか。

単に、DELE C1,C2に合格する!と設定するのではなく、その後それを用いて何をしたいかを明確にすれば、学習のモチベーションも上がりますよ。

全国通訳案内士への出願の仕方については全国通訳案内士の試験申し込み手順を解説【出願のイメージ】にて詳しく解説していますので、合わせてご覧下さい。

以上です。ここまで読んでくださりありがとうございます。

この記事がスペイン語学習の役に立てば嬉しいです。

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