- DELEを初めて受験する人
- スペイン語の学習を始めたばかりの人
スペイン語の学習をやり始めると、少しずつ気になるのが「自分はどれくらいスペイン語ができるようになったのか」ということです。
問題集や参考書で学習を続けていても、自分の成長をなかなか実感しにくいものです。
そこで、スペイン語の試験を受験しようと思い立つわけですが、この記事ではスペイン語入門者のためにDELE A1の試験について解説していきます。
そもそも問題文が読めなくて困っている人は、ぜひこの記事で全体像をつかんでください。
\Instituto Cervantes 公式の資料に基づいています/
DELE A1の試験概要
試験 | 読解試験 | リスニング試験 | 作文試験 | 口頭試験 |
---|---|---|---|---|
試験時間 | 45m | 25m | 25m | 20m |
Tarea数 | 4 | 4 | 2 | 3 |
問題数 | Tarea1:5問 Tarea2:6問 Tarea3:6問 Tarea4:8問 | Tarea1:5問 Tarea2:5問 Tarea3:8問 Tarea4:7問 | Tarea1:1問 Tarea2:1問 | Tarea1:1問 Tarea2:1問 Tarea3:1問 |
問題比重 | 25% | 25% | 25% | 25% |
DELE A1から4技能「読む・聴く・書く・話す」の試験があります。試験時間は全体的に短いです。
その割に読解試験とリスニング試験では問題数が多いので、時間配分を考えないと全て解ききれない可能性があります。
問題の比重は全て25%です。これは配点が全て同じであることを意味します。
DELEの点数の採点方法については以下の記事をご覧ください。
読解試験とリスニング試験の問題は同じ冊子になっています。そのため、読解試験を早めに終わらせてリスニングの問題をチェックすることができます。
DELE A1読解試験
- 読解試験の総単語数:595 〜 925単語
- Tarea数は4
- 全25問
- 問題の配点の比重は全て一緒。(0点か1点か)
- 内容は日常生活に関わるもの
DELE A1全般に関わることですが、内容は日常生活に関わるものになります。
各Tareaを見てもらえれば分かりますが、個人間のメッセージのやり取りであったり、生活でよく目にするようなアナウンスであったりと日常と紐づいています。
全25問で、1問1点になります。合格点を得るためには作文試験と合わせて60%以上の取得が必要です。
読解試験だけで6割を目指すなら、15問以上を目指しましょう。
Tarea1:メッセージ読解
- 問題形式:メールの文章やポストカードなどのメッセージを読んで、5つの質問に答えていく。
- 文章の単語数:150 〜 175単語
150〜175単語程度の文章を読んで、3択問題に答えていきます。
メッセージの内容は、日常生活レベルになっています。
5問目は写真から選ぶ形式になっています。文章の状況を正しく読み取ることができれば、比較的容易に解答することができるでしょう。
写真は見ればだいたい意味が分かりますから、文章中の単語さえ分かれば解けるってことです。
文章を読み始める前に、選択肢を読んで、何を聞かれているのかを把握しましょう。
Tarea2:メッセージ紐付け問題
- 問題形式:短いメッセージを読んで、関係のあるフレーズと紐づけていく。
- 各メッセージの単語数:20 〜 30単語
10個のメッセージと6つの選択肢を紐づける問題です。関係のあるものを繋いでいくイメージです。
メッセージ自体は短いですが、4つダミーがあるので知っている単語だけで選んでしまうと間違えてしまいます。
しかし、ダミーは受験者を間違えさせるためにあるので、似たようなメッセージがいくつかあると思ったら、その内容を丁寧に読みましょう。
10のメッセージを読み始めるのではなく、まずは問題文(6つのフレーズ)を読み、キーワードをチェックするといいでしょう。
上記のモデル問題であれば、以下の単語に線を引くか、◯をつけるといいでしょう。
- barato, internet
- escribir
- película, Chile
- estación
- semana, barato
- tiempo
Tarea3:写真を含んだアナウンス紐付け問題
- 問題形式:10個のアナウンスと6人の状況を紐づけていく。
- 各アナウンスの単語数:20〜30単語
- 問題文の単語数:10〜25単語
Tarea2と似たような問題ですが、問題文に写真がある点が異なります。
読む文章が多く感じますが、全てを理解しなくても解答することができますので、そんなに身構えなくてもいいです。
モデル問題のテーマは「10の家と家を借りたい・買いたい人々」ですので、どんな家を望んでいるのかを把握することが重要です。
se vende「販売中」se alquila「貸出可」が読み取れるだけでも、だいぶ絞り込めると思います。
ここでも必要な情報だけを拾うことが重要です。どうでもいい情報は読まなくていいのです。
例えば、選択肢12では次のことを述べています。
12. Somos un grupo de amigos y nos gusta mucho esquiar. Buscamos una casa grande para las vacaciones de Navidad.
どこをチェックするかといえば、筆者なら
12. Somos un grupo de amigos y nos gusta mucho esquiar. Buscamos una casa grande para las vacaciones de Navidad.
この3つの情報を拾えれば、「クリスマス休暇にスキーをしたいから、大きめの家を借りたいこと」が分かります。
あとは、写真見れば複数人いることも分かります。
ここまで来れば Se alquila になっている「A, E, F, H, I, J」に目を通せば答えば見つかります。
Tarea4:アナウンス読解
- 問題形式:短い文章で構成されたアナウンスを読んで、8つの質問に答えていく。
- 問題の単語数:175〜210単語
175〜210単語程度の文章を読んで、選択肢から正しいものを選んでいく問題です。
なかなか長いように感じるかもしれませんが、モデル問題のように短い文章が集まっているだけですので、該当部分さえ見つけることができれば、そこまで難しい読解ではないでしょう。
例えば、18の設問では「Los fines de semana la entrada de cine…」となっていますので、映画の入場料(週末)について問われていることが分かります。
そこで、CINEについて書かれている箇所を探すと、アナウンスの1番目がそれだと分かります。
ここでも文章を読み始める前に、選択肢を読んで、何を聞かれているのかを把握することが大事です。
モデル問題は新聞の文化面ですが、広告や掲示板などのアナウンスも出題されます。
DELE A1リスニング試験
- リスニング試験の総単語数:505 〜 735単語
- Tarea数:4
- 全25問
- 会話の聞き取りとメッセージ・説明の聞き取りが満遍なく出題される
読解試験と同じく、Tareaが4つに問題が25問です。試験時間が25分なので、あっという間に感じるでしょう。
Tarea1と4が会話文の聞き取りで、Tarea2と3が短いメッセージの聞き取りになります。
モデル問題を見てもらえれば分かりますが、Tarea1, 2は設問に写真・図がありますので、比較的容易であると言えます。
合格点の6割(15問以上)を目指すのであれば、Tarea1と2で高得点を狙いたいですね。
Tarea1:短い会話の聞き取り
- 問題形式:日常生活における2人の会話を聞き取り、設問に該当する写真を選ぶ
- 問題の単語数:それぞれ30〜40単語
短い会話を聞き取り、写真の選択肢から適当なものを選ぶ問題です。
選択肢がスペイン語の単語や文ではなく、写真であることによって問題のレベルが下がっています。
また、それぞれの問題は30〜40単語なので、非常に短い会話文となっています。またGuíaによれば会話は2, 3ターンで終わるとのことです。
例えば設問5では以下のような会話が行われます。
HOMBRE: ¿Vienes a comer?
MUJER: Es que tengo mucho trabajo. Voy a comer un bocadillo aquí en la oficina.
HOMBRE: Yo voy a bajar al restaurante porque hoy hay sopa y carne con patatas fritas.
おそらくこれは2ターンってことでしょう。
問題を解くためには、登場人物2人の状況を正しく聞き取れるかどうかが重要になってきます。
さらに、聞き取りを行う前には必ず問題をチェックしましょう。
基本的には『誰が、何をするか』聞かれます。設問5は
¿Qué come la mujer hoy?
です。La mujer(女性)が何をcome(食べる)するのかを問われています。mujerの事柄を聞かれているので、聞き取りでも女性が話していることに、よく耳を傾けましょう。
Tarea2:短いメッセージ聞き取り
- 問題形式:短いメッセージを聞き取り、該当の写真を選ぶ
- 問題の単語数:15〜30単語
- 音源は1問ごと2回ずつ流れる
15〜30単語程度の短いメッセージを聞き取り、適当な写真を選ぶ問題です。
設問が5つあるのに対して、ダミーを含め選択肢が9つあるので、一つ間違えてしまうと立て続けに他のも間違える可能性があります。
この問題はTarea1とは異なり、事前に読んでおくべきスペイン語設問がありません。
重要なのは、選択肢の写真を観察し、状況把握+関連単語をイメージすることです。
モデル問題では写真の共通点が『場所』ですので、これら場所の説明文が流れるのだろうと予想を立てておきます。
また、各場所の語彙を知っておかないと解けませんので、日々の語彙力強化は欠かせません。
EjemploがFだから選択肢からしっかり消しておくのも忘れずに。
Tarea3:短い説明文の聞き取り
- 問題形式:短い説明文を聞き取り、該当の選択肢を選ぶ
- 問題の単語数:15〜25単語
Tarea2と異なる点は選択肢がスペイン語文である点です。そのため、事前にいかに選択肢に目を通せるかが鍵になってきます。
また、問題が8つあるのに対して、選択肢が11だけあります。3つがダミーということになります。
量が多い上に、問題はどんどん進んでいってしまうので、難しいと感じる人も多いでしょう。
慌てることなく、問題のリード文が読まれている時なども活用して、選択肢をチェックしましょう。
モデル問題なら、以下の単語を拾えているといいと思います。
- sociable
- estudia
- habla
- más joven
- piano
- escritor
- Francia
- fiestas
- deporte
- película
- desayuna
Tarea4:長めの会話文の聞き取り
- 問題形式:長めの会話文を聞いて、設問の空欄補充をしていく
- 問題の単語数:160〜185単語
あるテーマについて話している2人の会話を聞いて、設問の空欄を埋めていく問題です。
Tarea1〜3までとは異なり、一度に聞き取る量が増えるので難しい感じる人もいるでしょう。
また、設問と選択肢がどちらもスペイン語なので、事前にチェックすべき内容も多くなっています。
ただ、モデル問題を見て貰えば分かるように、実際は聞き取りをしなくても解けてしまうこともあります。
例えば、選択肢の品詞を確認すると以下のように分類できます。
形容詞が入り得る設問は23だけです。22は「está …」となっているので、一見形容詞が入りそうですが、Lejos del centro está … となっているので「中心街からはなているのは…」というように主語を問うているので名詞が入ります。
名詞の選択肢が多いですが、性と数に着目すると選択肢が絞り込めます。
例えば、18は「La ciudad tiene muchos …」となっています。
muchosがポイントで、男性形の複数になっています。つまり、その後に続く名詞も、男性名詞の複数形のものであると分かります。
したがって、18にはmonumentosが入ります。
このように、品詞を考えることで、聞き取りをしなくても解けちゃう問題もあるので、苦手だと感じている人は参考にしてみてください。
DELE A1作文試験
- 作文試験の総単語数:45〜65単語
- 採点者は2人いて、それぞれ0〜3点で採点する
作文する量はそれほど多くありませんが、45〜65単語という量は普段から練習していないと簡単には書けないでしょう。
Tarea1は決められたフォーマットに記述していく形式ですが、Tarea2では書くべきテーマと満たすべき条件に基づき作文する形式です。
Tarea2の方が自由度が高く、その分難易度は高いでしょう。
作文試験の対策は一人で進めるには難しいと思いますので、作文例付きのDELEの問題集を買って真似るか、オンラインレッスンで添削してもらうのがいいでしょう。
Tarea1:用紙の完成
- 問題形式:質問事項が書かれたフォームに必要事項を書き込んでいく
- 問題の単語数:15〜25単語
個人情報などに関する質問用紙を完成させる問題です。
どこに何を書けばいいのか理解していれば、それほど難しくないでしょう。
モデル問題では「自分の個人情報」について問われています。
Tarea2:メッセージ作成
- 問題形式:条件を満たしながら、短いメッセージを書く
- 書くべき単語数:30〜40単語
決められた状況下で短いメッセージを書く問題です。
書くべき情報4つに対して30〜40単語書かなければいけないので、1つあたり10単語前後の文を書けばいいでしょう。
このTareaは語彙力の他に想像力も重要になってきます。
モデル問題は「貸出したいマンションの部屋」についてですので、好きなように想像力を働かせて書きましょう。
Tarea1とTarea2を25分で完成させなければいけないので、あまり考えすぎずに書きべき条件に答えることを優先しましょう。
A1 口頭試験の問題
- Tarea数:3
- Tareaのための準備時間が10分ある
- 試験時間は10分
- 面接官と採点官の二人がいて、配点はそれぞれ4:6
試験時間は準備できる時間を含め20分です。
準備ではメモをとることができ、そのメモは試験室まで持っていくことができます。メモは見てもいいですが、読むのては減点になりますので注意してください。
試験室には面接官と採点官の二人がいます。実際に面接をするのは面接官の一人ですが、試験に参加しない採点官の方が採点の比重は60%と少し高めです。
Tarea1:自己紹介
- 問題形式:自己紹介
- 試験時間:1〜2分
面接官の前で自己紹介を行います。このTareaは会話ではないので、面接官が途中で質問してくることはありません。
モデル問題では自己紹介では次の内容を含めるように指示があります。
- Nombre:名前
- Edad:年齢
- Nacionalidad:国籍
- Lugar donde vive:住んでいる場所
- Profesión o estudio:職業または専攻(学生)
- Carácter, personalidad:性格
- Lenguas que habla:話せる言語
自己紹介は試験関係なく、他人に自分を知ってもらうために重要ですので、普段から練習するといいでしょう。
Tarea2:テーマ口述
- 問題形式:提示されたテーマから1つを選び、テーマに関する3つの事柄について話す
- 試験時間:2〜3分
2つのテーマが提示されるので、そこから1つを選びます。それぞれのテーマに5つの事柄が示されているのでそこから3つを選んで口頭で説明します。
写真のモデル問題ではテーマが「Mi semana」でそれに付随する5つの事柄は以下の通りです。
- Trabajos y estudios
- Transportes
- Deportes
- Tiempo libre
- Comidas
Tarea3において、Tarea2で話した事柄について面接官と会話することになるので、話せる内容が多い事柄を選択するといいでしょう。
準備したメモはチラッと見ることは可能ですが、読むのは減点の対象になりますので注意してください。
Tarea3:面接官と会話
- 問題形式:Tarea2の内容をもとに面接官と会話する
- 試験時間:3〜4分
最後に、Tarea2で発表した内容について面接官と話をします。
口頭試験の準備時間で、Tarea3の準備もできると非常に楽です。面接官にどんな質問をされるのかを事前に予想しておくということです。
例えば、Tarea2で『Deportes』を選んで、次の事柄を話すとします。
- Me gusta el fútbol.
- Juego al fútbol desde hace mucho tiempo.
- Fui a ver el partido del fútbol el fin de semana.
- Me alegré mucho porque ganó el equipo favorito.
話す内容を決めたら、それに対して、質問1つか2つ考えておきましょう。
上記の内容なら、
- ¿Con quién fue a ver el partido del fútbol?「誰と試合を観にいったのか」
- ¿Cuántas veces vio el partido del fútbol en el estadio en su vida?「これまで何回スタジアム観戦したか」
とかでしょうか。面接官の質問を事前に予想しておけば試験中に焦ることもないでしょう。
10分間の準備時間で、何を話すかだけ考えるのではなく、「このことを話したら面接官は何を聞いてくるかな?」と実際に面接のイメージをしながら質問を考えられるといいですね。
口頭試験は面接官がいてこそ成り立つ試験です。その面接官とスペイン語のキャッチボールができるかどうかで合格できるかが決まると言ってもいいくらいです。
まとめ
試験全体をもう一度俯瞰しましょう。
試験 | 読解試験 | リスニング試験 | 作文試験 | 口頭試験 |
---|---|---|---|---|
試験時間 | 45m | 25m | 25m | 20m |
Tarea数 | 4 | 4 | 2 | 3 |
問題数 | Tarea1:5問 Tarea2:6問 Tarea3:6問 Tarea4:8問 | Tarea1:5問 Tarea2:5問 Tarea3:8問 Tarea4:7問 | Tarea1:1問 Tarea2:1問 | Tarea1:1問 Tarea2:1問 Tarea3:1問 |
問題比重 | 25% | 25% | 25% | 25% |
問題の量や内容の割に、試験時間が短いと感じるかもしれません。
特に、読解試験は25問で45分ですので、問題集で練習を繰り返す必要があるでしょう。
問題比重が25%と全て同じなので、合格の可能性を少しでも上げたいのであれば、作文試験と口頭試験に力を入れて対策すべきです。
この2つは明確な採点基準をもって、0〜3点で採点されます。問題数が少ないので、それだけ1問の重要性が高いわけです。
たとえ、読解試験とリスニング試験で結果が振るわなくても、挽回できるチャンスは十分にあります。
いずれにせよ、DELE A1に合格するためには十分な演習を積むことが大切です。
DELE A1に挑戦する人は、おそらく初めてDELEを受験する人が多いと思います。そのような人には『日本語で試験の流れなどが解説されている問題集』がおすすめです。
以下の問題集はA1〜A2に対応しているだけでなく、日本語で試験対策できるので、初学者は安心できます。
以上です。ここまで読んでくださりありがとうございます。