- スペイン語の前置詞の学習で困っている人
- 特に、前置詞bajoの使い方がわからない人
- bajo, abajo, debajoの違いを知りたい人
形容詞としてのbajo/a「低い」は知っている人は多いと思いますが、実は前置詞としての意味「の下に、のもとに」もあります。
ここでは、前置詞bajoの使い方を説明していきます。あわせて、間違えやすいbajo, abajo, debajoの使い方の違いについても解説していきます。
Bajoの意味と用法
bajoは形容詞・副詞・前置詞の3つの品詞を持ちます。
今回、ここでは前置詞bajo「の下に、のもとに」を解説していきます。前置詞はアクセント(強勢)を持ちません。
そのため、アクセントが有るかないかで形容詞・副詞としてのbajoとの区別をします。
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さて、bajoの使い方で迷うのは、似たような単語が存在するからです。以下のものがあります。
単語 | 品詞 | 意味 |
bajo | 前置詞 | の下に、の下で のもとに、のもとで |
abajo | 副詞 | 下に、下で |
debajo | 副詞 | 下に、下で |
debajo de | (複合)前置詞 | の下に、の下で |
bajoは複合前置詞であるdebajo deと同じ意味です。しかし、bajoは文語的であるのに対し、debajo deは口語的であるという違いがあります。
副詞のabajoやdebajoの使い方も後述しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
Bajoとdebajo deの違い
また、debajo deとbajoの使い分けとして「基準となるものと接触しているかどうか」が挙げられます。
例文をも見てみましょう。
Me quité las zapatillas bajo la cama.
私はスリッパをベッドの下に脱いだ。
las zapatillas「スリッパ」とla cama「ベッド」の上下関係を表した文です。基準となるのはbajoの後ろのla camaです。la camaに対してlas zapatillasが下にあるということです。
この場合bajoなので、las zapatillasとla camaは接触していないと考えられます。
イメージはベッドの下のスペースにスリッパがある感じですね。
Debería colocar posavasos debajo de los vasos con bebidas frías. Porque el sudor de los vasos moja la mesa donde están los vasos.
冷たい飲み物が入ったコップの下にコースターを置いた方がいいだろう。なぜなら、水滴でテーブルの上が濡れるから。
posavasos「コースター」とlos vasos「コップ」の上下関係を表した文です。基準となるのはdebajo deの後ろのlos vasosです。
当然ですが、コースターとコップは接触していますよね。そのため、この場合はbajoは使えず、debajo deを使うことになります。
debajo deの方が口語的だし、使い勝手がいいですね。
Bajoの比喩的用法
そうは言っても、bajoにも使い道があります。
Bajoには「場所」としての”下”を表す以外にも、抽象的に「下」を表すこともあります。言い換えると、状況的に「下」であるということです。
Me gusta dar un paseo bajo la lluvia.
私は雨の中散歩するのが好きです。
bajo la lluviaという部分ですが、状況として雨の中にいると考えるのが自然です。「雨が降っている状況下で」と考えましょう。
Estamos a cinco grados bajo cero.
気温はマイナス5度です。
例文は気温が氷点下である時に使える表現ですが、その際にはbajoを用います。これも状況的に0度よりも下にいるということです。比喩的用法の一つと言えます。
bajoと混同しやすい単語
ここまでは、bajoの用法と前置詞debajo deとの違いを見てきました。
もう少し深掘りして、似た意味を持つabajoとdebajoを見ていきましょう。
Abajoの意味と用法
Abajoは副詞として「下に、下で、下へ」という意味を持ちます。
同じく副詞のdebajoも同じ意味を持ちますが、この二つの違いは、比較対象の有無にあります。言い換えると、debajoは相対的に、abajoは絶対的に「下」を表しています。
次の例文を見比べてみてください。
Mis padres duermen abajo.
私の両親は下で寝ている。
Mis padres duermen debajo.
私の両親は(上の階でもなく、同じ階でもなく)下で寝ている。
abajoもdebajoもどちらも副詞として動詞dormirを修飾しており、構造的には同じです。
debajoはabajoとは異なり、上の階や同じ階があることを暗に示しています。「上の階や同じ階もあるけど、そうじゃなくて下の階で」両親は寝ているということです。
abajoの場合は、単に「下で」と言っているに過ぎません。そこに比較対象はありません。
例えば、「両親が下の階で寝ているから、足音立てないで」と言いたい場合は、「上の階や同じ階ではなく」という情報を含み持たせる必要はありませんよね。
Debajoの意味と用法
副詞のdebajoはabajoと同じ意味です。一般的に前置詞deを伴い、複合前置詞debajo de「の下で、の下に」として使われることが多い印象です。
Hay un gato debajo de la mesa.
猫が一匹テーブルの下にいる。
前述したように、debajoは相対的に「下」であることを述べるときに使われます。一方が他方の下にあることを言う場合などです。
前置詞deの後にくる名詞が基準となります。
例文では、la mesaが基準となり、その下にun gato「一匹の猫」がいるという状況です。la mesaとun gatoが比較されているわけです。
上記の例文では、abajoは使えません。bajoは文語的なので、状況次第ですが、あまり聞かないでしょう。
× Hay un gato abajo la mesa.
Hay un gato bajo la mesa.
Pasamos en barco por debajo del puente.
私たちは船で橋の下を通った。
debajo deは前置詞porやdeなどを前につけることができます。por debajo de「の下を通って」という意味になります。
それに対して、前置詞bajoにはporを前につけることができません。よって、次の文は間違いです。× Pasamos en barco por bajo el puente.
まとめ
記事の内容をまとめます。
以上です。ここまで読んでいただきありがとうございます。
この記事がスペイン語学習の役に立てば嬉しいです。