スペイン語を学習し始めた頃につまずくのが『動詞の活用』です。日本語と違い、スペイン語には動詞の形が主語によって変化するからです。
しかも、その活用の数は英語よりも多いです。
スペイン語において、動詞は非常に大切です。なぜなら、文を作る際に主語は省略できますが、動詞は省略できないからです。
つまり、動詞は文の核なわけです。
JICAのスペイン語講師の言葉をお借りすると『動詞の活用を制する者はスペイン語を制す』です。
そんなスペイン語の動詞の活用に焦点を当てて、どうやって活用練習をしていくかを紹介していきます。
動詞の活用ってなに?
文を構成する動詞を省略することができないのは前述のとおりです。そんな動詞の活用について、全体像を見てみましょう。
動詞の活用とは動詞が『法・時制・人称・数』などの文法的機能を表すために、語形が変化することを言います。
- 法
-
直説法、接続法、命令法
- 時制
-
現在形、過去形、未来形などのこと
- 人称
-
1人称(私・私たち)、2人称(君・君たち)、3人称(あなたたち・彼ら・彼女ら)
- 数
-
単数、複数
活用された動詞を見れば、主語や法や人称、数などが分かるということです。
法と時制
直説法 | 接続法 | 命令法 |
---|---|---|
現在形 点過去形 線過去形 未来形 過去未来形 | 現在形 過去形 |
表のように3つの法と7つの時制があります。
これに加えて、現在完了や過去完了などの完了形の時制がありますので、その数は全部で16にも上ります。
完了形は動詞haberと別の動詞の過去分詞を組み合わせて表現します。
完了形=haber+過去分詞
また、中級スペイン文法によれば、接続法には未来形や未来完了形がありますが、”現代ではほとんど用いられない”ということなので、ここでは省略します。
人称と数
一人称単数(私) | Yo | 一人称複数(私たち) | Nosotros/as |
二人称単数(君) | Tú | 二人称複数(君たち) | Vosotros/as |
三人称単数 (あなた・彼・彼女) | Usted, Él, Ella | 三人称複数 (あなたたち・彼ら・彼女たち) | Ustedes, Ellos, Ellas |
それぞれの時制において6つの人称がありますので、その数は膨大です。
例えば、動詞Comer「食べる」の直説法現在形は次のようになります。
Yo | como | Nosotros/as | comemos |
Tú | comes | Vosotros/as | coméis |
Usted, Él, Ella | come | Ustedes, Ellos, Ellas | comen |
直説法現在形だけで6つもあるから、覚えるのは大変ですよね。
全体がざっくりと見えたところで、実際に動詞の活用の覚え方を見ていきましょう。
動詞の活用練習の仕方
動詞は、文の核なわけですから、発話する際に「えーと、なんだっけな…」と考えていては遅いです。
スペイン語を話す際に、スラスラと動詞が活用できるようにするためには、普段からの練習が重要になります。
活用練習する際の3つの原則をお伝えしておきます。
- 実際に声に出す
- スピードを意識する
- 毎日繰り返す
動詞の活用に関しては、綴りを書くことよりも音読することの方が大事です。
個人的には黙読は全く意味がないと思っています。
もし、「なかなか動詞の活用を覚えられないなぁ」と悩んでいるなら、ちゃんと『音読しているか』と『音読できる環境で勉強しているか』を見直してみてください。
参考書と睨めっこしているだけでは覚えられませんよ。声を出しましょう。
また、瞬発力を上げるために、スピードを意識しましょう。
何度も繰り返すことが理想ですが、その際に「前回よりも早く言えるようになったか」を考えながらやってみましょう。
活用練習の具体的な方法を説明していきます。
筆者が個人練で意識していることは次の3つです。
- 主語人称代名詞と合わせて発音する
- 法ごと活用練習する
- 時制ごとに活用練習する
1. 主語人称代名詞と合わせて発音
動詞は Yo, Tú, … Ustedes などの主語人称代名詞とセットで声に出しましょう。
一人称単数から三人称複数まで順番に声に出していきます。
例えばComerなら『Yo como, Tú comes, Usted come Él come Ella come, … 』ように発音していくということです。
- Yo
-
como
- Tú
-
comes
- Usted, Él, Ella
-
come
- Nosotros/as
-
comemos
- Vosotros/as
-
coméis
- Ustedes, Ellos, Ellas
-
comen
これを法ごと・時制ごと練習するわけです。
2. 法ごと活用練習
「法ごと活用練習する」というのは、直説法と接続法を一気に練習するのではなく、直説法を習得してから、接続法の活用練習に入るということです。
接続法の活用は直説法の語形が基になっているので、直説法を覚えてしまえば、わりと簡単に習得できてしまいます。
関連 接続法における動詞の活用の仕方【スペイン語】
直説法を十分に練習せずに、接続法を練習してしまうと混乱してしまい、正しい活用を覚えられないので「法ごと」行うようにしましょう。
命令法に関しては、直説法や接続法の語形が元になっていたりするので、正直後回しでもいいと思います。
3. 時制ごとに活用練習
「時制ごと活用練習する」という点も重要です。直説法だけでも5つの時制があるわけですからそれを一気に覚えようとするのは大変です。
まずは現在形▶︎点過去形▶︎… ▶︎過去未来形のように順番にクリアしていくことです。
特に、学習し始めの頃は『点過去形の不規則さ』につまずくと思いますので、ある程度慣れるまでは現在形をとにかく練習しましょう。
動詞の活用練習に役立つツール
動詞の活用練習をする上で、役に立つツールをいくつか紹介します。
この3つは自信を持ってオススメできます。
スペイン語動詞活用Lite
iPad版だと画面左に動詞のリストがあり、画面右に該当動詞の活用が表示されています。
- 動詞の検索
- ブックマーク
- 不規則動詞のハイライト
検索窓があり、そこで調べたい動詞を検索することができます。調べた動詞は、お気に入りに入れることができますので、いつでもすぐにアクセスすることができます。
不規則動詞には赤でハイライトされるので、活用練習する際の目安になります。ハイライトが不要という方は、設定で変更することもできます。学習者に親切な設計になっています。
非常にシンプルなアプリですが、必要な機能を十分に搭載してくれているので、動詞の活用練習に非常に役立つツールになります。
Lite版なので、基本単語が600語搭載されています。スペイン語初心者はダウンロード間違いなしのアプリです。
DLE descargable(iOSアプリ)
スペイン王立アカデミー(Real Académia Española)が出している西西辞書のアプリです。
無料版と有料版がありますが、これは有料版です。日本円で1,100円でした(筆者購入時)。
辞書アプリなので、動詞の活用表はもちろん、その動詞の意味・用法も確認することができます。
有料版はオフラインで使用ができるので、場所を選ばずに学習できます。調べた動詞をお気に入りに入れておいて、時間がある時に活用練習するなんていう使い方もできますね。
動詞の活用表は、先程の『スペイン語動詞活用Lite』とは違って1画面に全部表示されないので、その点練習はしづらいです。
西西辞書なので、初心者の人にはオススメできませんが、スペイン語をスペイン語のまま学びたい人にはオススメできます。
Conjugación Reverso(WEBサービス)
最後の Conjugación Reverso はWEBサービス(無料)です。
『スペイン語動詞活用Lite』が600語搭載しているわけですが、それだけだと足りないという人にオススメです。
検索窓に調べたい動詞を入力すれば、動詞の単純形から完了形まで全部出てきます。このサイトがすごいのが、動詞の活用表が印刷・PDF保存ができる点です。
また、『El verbo del día』やよく検索される動詞のリストがあって面白いですね。
まとめ
動詞の活用は、スポーツでいう基礎練習に当たります。日々の素振りなしでヒットなんて打つことはできませんし、ましてはホームランを打つことはできません。
スペイン語で会話をする際に、瞬発力を持って返答をするにはそれだけ日々の動詞の活用練習が必要になります。
スペイン語に慣れてくると、この動詞の活用が疎かになりがちですが、気を引き締めて日々の学習に取り組みたいものですね(自分に言ってます)。
最後に記事の内容をまとめます。
当サイトCaminando haciaでもスペイン語動詞の解説をしています。動詞の活用表や用法をまとめています。
以上です。この記事がスペイン語学習に役立てば嬉しいです。