- DELE B2の受験を考えている人
- DELE B2ではどんな問題が出るのか確認したい人
DELE B2の受験を考えている人は、レベルは違えどこれまでに何度かDELEを受験したことがあると思います。
どのレベルを受けるにしても、まずやるべきことは『敵を知ること』です。つまり、どんな問題が出題されるのかを知ることです。
いきなり問題集を購入できる方は良いですが、地方に住んでいる人はなかなか問題集を購入できる状況にありません。
田舎住まいだとそもそも書店にスペイン語書籍コーナーがないんですよね。
そんな方でも、DELE公式が発表している Guía がありますので、そのサンプル問題を読み解いてどんな問題が出題されるのかを把握しましょう。
\Instituto Cervantes 公式の資料に基づいています/
DELE B2 の試験概要
試験 | 読解試験 | リスニング試験 | 作文試験 | 口頭試験 |
---|---|---|---|---|
試験時間 | 70m | 40m | 80m | 20m |
Tarea数 | 4 | 5 | 2 | 3 |
問題数 | Tarea1: 6問 Tarea2: 6問 Tarea3:10問 Tarea4:14問 | Tarea1:6問 Tarea2:6問 Tarea3:6問 Tarea4:6問 Tarea5:6問 | Tarea1:1問 Tarea2:1問 | Tarea1:1問 Tarea2:1問 Tarea3:1問 |
問題比重 | 25% | 25% | 25% | 25% |
- 読解試験はTarea数が5→4に減るが、問題数全体は30問→36問に増える。
- 作文試験は試験時間が70分→80分に増える。
- 口頭試験はTarea数が4→3に減るが、試験時間が15分→20分に増える。
Tarea数が減るというのは、それだけ問題の種類が減るということです。種類は減るが、1問の分量が増えるということになります。
読解試験
- 各Tareaの単語数は約400〜450
- 後半14問は文法問題
- 問題の重さは全て一緒。(0点か1点か)
文章量はB1レベルからそこまで変化していませんが、語彙や内容の難易度が上がっていることを押さえましょう。
また、次のように Guía に記載があります。
Las respuestas correctas reciben 1 punto y las incorrectas 0 puntos. No se penalizan las respuestas incorrectas.
Guía del examen, B2, p.8
配点は1点か0点しかないということになります。つまり、文法問題の1問も並び替え問題の1問も配点が同じということを意味します。
関連 【保存版】DELEの点数はどのように決まるのか【採点方法まとめ】
36問中の14問は文法問題になります。読解試験で高得点を狙うには、文法問題でどれだけ点数を稼ぐことができるかにかかっています。
合格するには、読解試験と作文試験を合わせて60%取る必要があります。仮に読解試験で70%を取りたいなら、36問 × 0.7 ≒ 25問 が必要になりますので、文法問題の14問が合格の鍵になると言ってもいいでしょう。
Tarea1:長文読解
- 問題形式:長文を読んで、内容に合致するものを3択から選ぶ
- 問題数:6問
- 単語数:400〜450
B1レベルにも同様の長文読解問題がありますが、単語数はほぼ変わりなく、内容の専門性が上がります。
6つの問題はそれぞれ段落に対応していることがほとんどなので、設問の該当箇所を素早くみつけて、丁寧に読むことが求められます。また、単純な本文抜粋ではなく、類語表現で書かれているので十分な語彙力が必要になります。
Tarea2:誰の説明でしょう?
- 問題形式:4人の登場人物のうち、誰についての説明なのかを選択していく
- 問題数:10問
- 単語数:それぞれ130〜150
4人の登場人物についての説明があり、それに該当する設問を選んでいきます。設問は、基本的に「〇〇だと言っている人は誰ですか」という内容になっています。
このような問題は、受験者が「この選択肢はAもありそうだし、Cもありそうだな」と迷うように作られているので、似たような内容が書かれていると感じた場合は注意しましょう。
Tarea3:空欄補充
- 問題形式:空欄のある長文に抜粋文を当てはめていく
- 問題数:6問
- 単語数:400〜450
B1レベルでも出題された空欄補充問題です。この形式の問題は苦手とする人が多いようです。他の問題と異なり、3つ(4つ)の選択肢から選ぶわけではなく、最大8個から選ぶ必要があります。
解くための一つの戦略として、接続詞や代名詞、指示語などに着目したりしますが、『元々は一つの文章なので、空欄に正しく当てはまるのは一つだけだ』という事実を覚えておきましょう。
「この空欄にはAもFも入るぞ」なんてことはありえません。
筆者もこの形式の問題は苦手でしたが、「たくさんある選択肢から選ばないといけない」という意識から、「バチッとうまくハマるものを探すパズル」くらいの感覚で臨むようにしています。
Tarea4:文法問題
- 問題形式:空欄のある長文に該当するフレーズを当てはめていく
- 問題数:14問
- 単語数:400〜450
B1レベルと比べると、6問から14問に問題数が増えています。文法を正しく理解できていれば、Tarea4はチャンス問題になるでしょう。
問われる文法項目例
- 前置詞
- 動詞の時制
- 動詞の法
- 否定語・不定語の扱い
- 目的格代名詞の扱い
- 動詞の意味
- 接続詞
- 熟語表現
前述しましたが、ここでどれだけ点数が稼げるかが高得点の鍵になります。点数で伸び悩んでいる人はまずはTarea4の見直しをしましょう。
Tarea4を最初に解く人もいるようです。筆者は、Tarea1から順番に解いています。
リスニング試験
- 試験時間40分(B1から変化なし)
- 問題数30問(B1から変化なし)
- 単語数:1590〜1980(B1からほぼ変化なし)
- B1から問題の順番が変更されるも、内容はほぼ変更なし
- インタビュー形式の問題が新しく出題
リスニング試験は問題の形式・内容ともにほぼB1と同じです。
B1を受けずにB2を受験する予定の人は、練習としてB1に出題されている同様の形式の問題を解いてみるのもいいかもしれません。
Tarea1:短い会話の聞き取り
- 問題形式:短い会話を聞いて、質問に適する答えを選ぶ
- 問題数:6問
- 単語数:それぞれ40〜60
Tarea1はB2以前のレベルと同様の『会話聞き取り』問題です。各Tareaの単語数はB1と同等と設定されています。
ただ、B1よりも語彙のレベルは上がっている印象です。聞き取れていても、選択肢に知らない単語があるなんていう状況があるかもしれません。
Tarea2:長い会話の聞き取り
- 問題形式:長い会話を聞いて、6つの事柄について誰が言及しているかを選ぶ
- 問題数:6問
- 単語数:250〜300
Tarea2もB1でも出題されていましたし、そこまで変更点はありません。
6つの事柄を『誰が』喋っているか選択していくわけですが、『誰も喋っていない』ものも含まれています。体感ですが、6個中1個は『誰も喋っていない』に該当します(2個以上であることはほぼなさそう)。
登場人物の2人は男女であることが多いので、声の主がどっちなのかを書いておくといいでしょう。
また、6つの設問は順番に会話の流れに対応しているので、最初に読んで「どんな流れで会話が展開されているのか」を把握しましょう。
Tarea3:インタビューの聞き取り
- 問題形式:インタビューを聞いて、設問に適するものを選ぶ
- 問題数:6問
- 単語数:400〜450
Tarea3はB1レベルにはなかった「インタビュー形式」になっています。
インタビュアーが話を切り替えながら質問をしていくので、インタビュアーの質問を注意して聞くことで「今どの設問の内容について話しているのか」は把握できると思います。
Tarea3に限りませんが、設問において不要なところは読み飛ばして、キーワードを拾いましょう。例えば、
- En la entrevista la chef dice que 〜
- La chef mexicana dice que 〜
- La entrevistada dice que 〜
モデル問題では上のような表現が出てきますが、3つとも同じことを述べていて、問題を解くのに重要ではありません。
筆者は、すぐに que 節内に目を通して「キーワード」をマークするようにしています。
Tarea4:選択肢群問題
- 問題形式:6人が言及していることを9つの選択肢群から選ぶ
- 問題数:6問
- 単語数:それぞれ50〜70
Tarea4もB1レベルに出題されていた形式と同じです。
6人が決められたテーマについて話し、それに対応するものをA〜Jの選択肢群から選ぶ問題です。選択肢が例を除いて9個あるので、3つはダミーということになります。
他のTareaと異なり、3択問題ではなく1つの選択肢群から選んでいくので、選択ミスをしてしまうと他も間違う可能性が出てきます。
それを避けるためにも、事前に選択肢に全て目を通して、キーワードをチェックしておきましょう。
音源はそれぞれ2回ずつ流れます。Persona1さん2回▶︎P2さん2回▶︎… ▶︎P6さん2回のように流れます。
Tarea5:講演会形式
- 問題形式:登場人物が話す経験談・考えを聞いて、設問に適するものを選ぶ
- 問題数:6問
- 単語数:400〜450
400〜450単語の長めの音源を聞いて、6つの設問に答えていく問題です。そのため、事前にどれだけ選択肢に目を通せるかが鍵になってきそうです。
Tarea3のインタビュー形式とは違って講演会形式なので、世界中の専門家などの講演が聞けるTEDなどを活用することで対策はできそうです。
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ただし、TEDで話されている内容は専門的で長いので難しいです。
メキシコのニュース誌『Milenio』にはTEDの簡易版のような Milenio Opinión が配信されています。これは一つ400単語前後なので、Tarea5対策に活用できるのではと思います。
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作文試験
- 試験時間:80分
- 採点者は、全体的に評価する人と細かく点数をつける人の2人いる
- Tarea1とTarea2の比重は同じ
- 受験者が書くべき単語数:それぞれ150〜180
B1では試験時間が60分だったのが、B2では80分になります。問題数は2問と変化ありませんが、問題形式が変わっています。
Tareaの比重は1と2では変わりません。そのため、Tarea2の方が配点が高いということはありません。
また、指定された単語数はどちらも150〜180になります。B1に比べると、かなり量が増えている印象です。
Tarea1:アナウンスに対する手紙
- 問題形式:アナウンス(ニュース)を聞き、それに対して手紙を書く
- 書くべき単語数:150〜180
- 最初にリスニングする必要あり
作文を始める前にリスニングする必要があります。そこで、手紙を書くために必要な情報を聞き取る必要があります。
上の写真には『Transcripción del audio』が掲載されていますが、もちろん本番はありません。大体200〜250単語のアナウンスが2回流れます。
Tarea1のテーマとしては、モデル問題の「博物館の入場料が値上がりすることに対して抗議文を書く」のように、あるニュースに対して反対意見を述べるものや、企業の求人情報に応募するようなものなどが出題されます。
Tarea2:図やブログ記事に対するコメント
- 問題形式:グラフやブログなどの文章を読み取り、コメントを書く
- 書くべき単語数:150〜180
- 2つのオプションから1つを選ぶ
Tarea2は2つのオプションから一つを選択して、作文していきます。どちらも書くべき単語数は150〜180です。
- Opción1:グラフを読み取って条件文を満たしながら作文する
- Opción2:ブログなどの記事を読んで条件文を満たしながら作文する
Opción1
モデル問題からどんな事柄を書くべきかを見ていきましょう。モデル問題のグラフは『las actividades culturales que realizan los jóvenes universitarios』についてです。
作文試験 Tarea2 Opción1の流れ
Comentar la importancia que tiene el ocio cultural para los jóvenes.
「若者にとって、文化的な活動をすることの重要性」についてコメントする。これはグラフを読み取らずに、自分の主張を述べれば良さそうです。
Comparar de forma general los porcentajes de las distintas actividades culturales.
グラフに示されている文化活動について比較する。
Destacar los datos que considere más relevantes.
グラフの特徴的な部分を指摘する。例えば、最も割合が高い文化活動(または最も割合が低い)についてコメントする。
Expresar su opinión sobre la información recogida en el gráfico.
グラフから読み取れることについて自分の意見を述べる。
Elaborar una conclusión.
最後に結論を述べる。以上のことをまとめて、結論を書きます。文章を書くわけですから、それぞれの論理的な繋がりなども注意する必要があります。
Opción2
ブログ記事やレビュー記事を読んで、それについての批評を書きます。モデル問題では、舞台のレビュー記事に対して自分の意見をまとめていきます。
Opción2は、B1レベルにて類似した問題が出題されますが、Guíaによれば記事内の単語数は200〜250となっているので、B1よりも少し長くなっています。
口頭試験
- 試験時間:20分
- Tarea数:3つ
- 面接官と採点官の2人がいる
- 面接官と採点官の採点比重は40:60
- Tareaの配点比重はT1:T2:T3=35:35:30
- Tareaの準備をする時間が20分与えられる
Tarea1と2の準備をするために、事前に20分間与えられます。
B1と比べると、Tarea数が3つに減っていますので、配点比重が35%:35%:30%となっています(B1はTareaが4つあるので、全て25%)。
Tarea1:提案についての意見交換
- 問題形式:ある問題を解決するための複数の提案を読んで、必要事項を述べたり、面接官と対話をする。
- 試験時間:6〜7分(3〜4分説明したのち、残りの時間で会話する)
ある問題について専門家が挙げた提案が6つほど示されています(上の写真でいう吹き出し)。それらの提案について、一般的に次のことを述べていきます。
- 良い点・悪い点
- どれが自分にとって良い・悪い解決方法なのか
- その方法によって、利益を得る人や被害を被る人はどんな人か
Tarea1で提示されているテーマは2つありますので、そこから一つを選んで準備することになります。
Tarea2:写真叙述
- 問題形式:写真を見ながら、指示文に答えていく
- 試験時間:5〜6分(2〜3分説明したのち、残りの時間面接官と会話する)
B1レベルにも同様の問題が出題されていますので、比較的イメージしやすいかと思います。事前準備の段階で2つの写真から1つを選択して、面接官の前で写真に映っている状況を説明していきます。
受験者が説明すべき内容は決まっています。モデル問題では以下のことを述べる必要があります。
- 写真の場所について
- 登場人物の関係について
- 登場人物はどんな人か
- 何が起きているか
- 何について話しているか
- この後何が起こるか(この状況はどうやって終わるか)
Tarea3:図表をもとに会話
- 問題形式:アンケートのデータなど図や表について、面接官と対話していく
- 試験時間:3〜4分
アンケートやニュースで示された内容について面接官と対話をしていくわけですが、その前にそのアンケートに答えたり、図や表から自分の意見をまとめます。
モデル問題では、次のように問題が展開されています。
口頭試験 Tarea3の流れ
写真左上の数字が入っていないものを見ながら。
写真左下の数字が入ったものを見ながら。
Tarea3はモデル問題のようなアンケートタイプだけではなく、図、写真や文章など多様なタイプの問題が出題される可能性があります。
いずれにしても、示されたものについて明確に自分の意見を持ち、それに基づいて面接官と対話できるかどうかが試されます。
おわりに
この記事では、モデル問題を紐解いていきましたが、少しでも試験問題の傾向が把握できていれば嬉しいです。
どんな問題が理解できたら、あとはDELEの問題集でいろんな形式に慣れましょう。
ここまで読んでいただきありがとうございました。