頻出接続詞 Aunque の使い分けは「事実」か「仮定」か

- 接続詞 Aunque の使い分けに悩んでいる人
- 『譲歩』とは何か知りたい人
スペイン語を学習していて出会う接続詞として、上位にランクインするのが Aunque です。
しかし、Aunque に続く動詞が「直説法」なのか「接続法」なのかで意味が変わってくるため、どういう使い方をするのか迷って、少し厄介に感じる人もいるのではないでしょうか。
今回は譲歩の接続詞『Aunque』について解説していきます。スペイン語において Aunque は非常によく使われますので、その用法をしっかり理解しましょう。
Aunqueの他にも『譲歩の接続詞』が多くありますが、それらについては譲歩の接続詞に伴う直説法・接続法とは【スペイン語】にてまとめてありますので、合わせてご覧いただければ理解が深まると思います。
Aunqueの意味と使い分け

まずは Aunque の用法は大きく2つです。
直説法を伴うか接続法を伴うかでAunque の意味が変わります。
さらに接続法において、現在形か過去形かで分かれていますが、考え方が同じですので気にしなくて大丈夫です。
しかも、接続法過去・過去完了のパターンは日常生活でほとんど出会いませんので、重要度は高くありません。ですので、ここでは説明を省いています。
それでは例文を用いて、それぞれの場合のAunqueの意味について考えていきましょう。
1. Aunque + 直説法「〜だけども」
直説法を伴う場合は『逆接』の意味を持ちます。ある事柄を事実と認めた後、Aunqueを用いて逆接の意味にします。「〜だけども」とか「〜ではあるが」というような意味になります。
El gobierno de Japón no nos prohibió salir de la casa aunque iba aumentando el caso de covid-19.
日本政府は私たちが家から出るのを禁止しなかった、コロナウィルスの症例が増えてきているのに。
例文中の aunque の後ろを見ると、iba aumentando と直説法の過去時制になっています。線過去をとっているのは、主節が過去時制であるためです。
注目して欲しいのは、直説法であるという点。これにより、aunque が『逆接』意味を持ちます。「Aunque以下は事実なんだけどね」というニュアンスです。コロナウィルスの数が増えてきているというのが事実として話しています。
Aunque hoy hace buen tiempo, me quedaré en casa trabajando todo el día.
今日は天気がいいけれども、仕事をしながら家にいるだろう。
次の例文では冒頭に Aunque が来ています。これも aunque の節内を見てみると、動詞 hacer が直説法三人称単数形 hace になっているので『逆接』です。
これも「Aunque 節内は事実なんだけどね」というニュアンスです。事実として天気がいいことを踏まえて、後半の「仕事をしながら家にいるだろう」を発します。

2. Aunque + 接続法「たとえ〜だとしても」
それに対して、aunque 節内の動詞が接続法をとる場合は、事実ではなく仮定の内容になります。
よく参考書で「Aunque に接続法が伴う場合は譲歩の意味を持ちます。」と記載されていることがありますが、この譲歩という言葉はここでは『仮定』と置き換えて考えていきます。
Nunca hago eso aunque me pida sinceramente.
私は決してそれをしない、たとえ心から真剣に頼まれても。
aunque me pida… となっているので、動詞は pedir 「頼む」だと分かりますね。 活用は接続法現在です。接続法を用いているので、aunque 以下の内容は『仮定』の内容になります。
ここでのaunqueの意味は「たとえ〜だとしても」となります。主語は三人称単数の誰かです(示されてはいません)。me は間接目的格代名詞です。「私に」ということです。発話する際は、後から付け足し感覚で使えばいいと思います。
何か提案された後に「それは本当にやりたくない」と思ったら「Nunca hago eso」と言ってしまって(Nunca のところは No でも構わないです。否定の度合いによって決めましょう)、それを強める形で「 aunque me pida 」と付け足せばいいわけです。
No conozco el monte Fuji aunque sea japonés.
たとえ私が日本人だとしても、富士山をみたことがない。
(確かに私は日本人かもしれないが、富士山をみたことがない。)
aunque節内の動詞はSeaですが、動詞Serの接続法現在形です。例文1と少し違い、aunque節内の内容が事実でも仮定的に述べることがあります。
日本人であることは事実ですが『私が日本人だったとしても、世界的にも有名な富士山をみたことがない』という仮定的なニュアンスになります。
まとめ
最後にAunqueの用法をまとめましょう。
以上です。Aunqueの意味や用法が少しでも理解できれば嬉しいです。
Aunque以外の譲歩の接続詞については譲歩の接続詞に伴う直説法・接続法とは【スペイン語】をご覧ください。

\筆者が主に使用している参考書/
コメント一覧 (2件)
質問なのですが、
例文①
El gobierno de Japón no nos prohibió salir de la casa aunque iba aumentando el caso de covid-19.
日本政府は私たちが家から出るのを禁止しない、コロナウィルスの数が増えてきているけれども。
の訳が「コロナウィルスの症例が増えて“いた”のに、日本政府は私たちの外出を禁止“しなかった”」と過去形にならないのは何故ですか?
お返事を頂けると幸いです
吉川裕康 様
Caminando haciaのYukiです。ご質問ありがとうございます。
該当例文について、動詞Prohibirとirの時制に関するご質問ですね。
ご指摘いただいた通り、主節の時制がProhibióと過去時制(直説法点過去形)になっているので、
「禁止しなかった」が正解です。ですので、正しい日本語訳は「コロナウィルスの症例が増えて”いる”のに、日本政府は外出するのを禁止”しなかった”」ですね。
この点は、訂正いたします。混乱させてしまい申し訳ございません。
2つ目、従属節(aunque節)での時制について、回答いたします。なぜ「増えて”いる”のに」なのか。
これは時制の一致が関係しています。
時制の一致を考える際は、主節の時制と従属節の時制の時間関係がポイントになります。
基本的には、従属節の時制によって、主節が表す時間帯と「同時」か「それより前」か「それより後」かが決まります。
①「同時」パターン
Él dijo que iba a la escuela todos los días.「彼は毎日学校に行って”いる”と言った」
②「それより前」パターン
Él dijo que había ido a la escuela todos los días.「彼は毎日学校に行って”いた”と言った」
③「それより後」パターン
Él dijo que iría a la escuela mañana.「彼は明日学校に”いくつもり”だと言った」
つまり、従属節の時制によって、表せる時間帯が異なるわけです。
①は主節▶︎過去形、従属節▶︎線過去形のパターン
②は主節▶︎過去形、従属節▶︎過去未来形(もしくは過去未来完了)のパターン
③は主節▶︎過去形、従属節▶︎過去完了形のパターン
です。
ここで該当例文を見てみましょう。
El gobierno de Japón no nos prohibió salir de la casa aunque iba aumentando el caso de covid-19.
先ほど述べた通り、主節は過去時制になっています。それに対して、従属節はaunque iba aumentando…と直説法線過去形になっています。
つまり、上記の①「同時」パターンです。症例が増えている”時”と外出を禁止しなかった”時”が同時だったということです。
説明は以上です。文字だけだと理解しづらいかもしれませんね。
吉川様の疑問は
・スペインに行った時、バッグを買いました。
・スペインに行く時、バッグを買いました。
の違いでしょうかね。日本語だとなんとなく使い分けできますが、
意味の違いは
行った後にバッグを買ったのか、行く準備をしている時(あるいは空港などで)にバッグを買ったのかです。
行くという行為は「買った」行為よりも「前」なのか、「同一時点」かで意味合いが変わってきますね。
長々書きましたが、不明な点がありましたら、コメントいただければと思います。