- 動詞Hacerの意味や用法を知りたい人
- Hacerの使い方やニュアンスを、例文を通して理解を深めたい人
Hacerで大体のことは表現できてしまうほど、この動詞は日常においてよく使われます。
本記事では、最重要動詞の一つHacerの用法を10の例文で説明していきます。どのように活用されて、その用法にはどんなものがあるのかを紹介していきます。
HACERの活用
Hacerは直説法において不規則に活用されます。
Hacerの不定形は次のとおりです。
- 不定詞:Hacer
- 現在分詞:Haciendo
- 過去分詞:Hecho
直説法現在形
人称 | 単数 | 複数 |
---|---|---|
一人称 | hago | hacemos |
二人称 | haces | hacéis |
三人称 | hace | hacen |
直説法点過去形
人称 | 単数 | 複数 |
---|---|---|
一人称 | hice | hicimos |
二人称 | hiciste | hicisteis |
三人称 | hizo | hicieron |
直説法線過去形
人称 | 単数 | 複数 |
---|---|---|
一人称 | hacía | hacíamos |
二人称 | hacías | hacíais |
三人称 | hacía | hacían |
直説法未来形
人称 | 単数 | 複数 |
---|---|---|
一人称 | haré | haremos |
二人称 | harás | haréis |
三人称 | hará | harán |
直説法過去未来形
人称 | 単数 | 複数 |
---|---|---|
一人称 | haría | haríamos |
二人称 | harías | haríais |
三人称 | harías | harían |
接続法現在形
直説法現在形一人称単数形の語幹 hag- が接続法現在形の活用母体になります。その語幹に-ar動詞の活用語尾 a, as, a, amos, áis, anをくっつけます。
関連 接続法における動詞の活用の仕方【スペイン語】
人称 | 単数 | 複数 |
---|---|---|
一人称 | haga | hagamos |
二人称 | hagas | hagáis |
三人称 | haga | hagan |
接続法過去形
直説法点過去形三人称複数形の語幹 hicier- が接続法過去形の活用母体になります。
人称 | 単数 | 複数 |
---|---|---|
一人称 | hiciera | hiciéramos |
二人称 | hicieras | hicierais |
三人称 | hiciera | hicieran |
HACERの意味と用法
辞書を引くと、Hacer の意味や用法がずらーっと並んでいます。それだけ頻繁に使用され、重要だということです。
その中でも特に重要だと感じるものは以下の8個です。
\Hacerの意味と用法/
- Hacer+algo「… をする・作る」
- Hacer+alguien+名詞・形容詞「人を…にする」
- Hacer+不定詞/que 接続法「…させる」
- Hace+時間「…前に」【三人称単数・無主語で】
- Hace…「天気が…である」【三人称単数・無主語で】
- Hace+時間+que 直説法「~してから…が経つ」
- Se hace… 「行われる・作られる」【三人称】
- Hacerse+名詞・形容詞「…になる」
それぞれの用法を例文を通して確認していきましょう。
1. Hacer+algo「… をする・作る」
¿Qué vas a hacer mañana? – La tarea que debemos hacer.
明日は何するの? – やらなきゃいけない課題だよ。
最も基本的な用法です。『何かをする・作る』という意味を持ちます。Hacerの後に目的語として名詞を持ってくるだけでいいです。
例文の Hacer la taraeで「宿題・課題をする」という意味になります。
関係代名詞queを用いてla tareaを修飾しています。la tarea que hacerでも「すべき課題」ということができますが、ここはあえて、「僕たちに課せられた」という部分を強調しました。
Hacer+名詞の他の表現
- Hacer la cena 夕食を作る
- Hacer la pregunta 質問をする
- Hacer la cama ベッドメイキングをする
¿Me podría hacer un favor?
私のお願いを一つ聞いてくれますか。
直訳すると、『私に対して、一つのお願いをしてくれますか』となります。Hacer un favor で「お願いをする・聞く」です。
例文冒頭のMeは間接目的格代名詞です。間接目的語 a míが省略されてMeになっています。
podría の部分は puede(puedes)などでもいいですが、より丁寧に言いたい場合は線過去形のpodíaか過去未来形のpodríaにします。
2. Hacer+alguien+名詞・形容詞「人を…にする」
¡A ti te hubieran hecho el director del sector!
君をこの部門の部長にするべきだったのに。
HechoがHacerの過去分詞です。haberの接続法過去 + 過去分詞で過去の「後悔」を表現することができます。つまり、「あの時…だったらよかったのに」ということですね。
また、「Hacer+間接目的語+名詞」で「人を〜にする」という意味になります。
例文での間接目的語は A ti の部分です。そして、間接目的代名詞のteです。
本来、代名詞を用いて省略されますが、強調したい場合は冒頭に A ti と入れることがあります。例文では、『君を』の部分を強調しているということです。他の誰かではなく、「君を」ということです。
Me hace muy feliz pasar mucho tiempo contigo.
君と多くの時間を過ごせて僕はとても幸せだよ。
Hacer + 人 + 形容詞も『人を〜にする』という意味があります。例文では、felizが形容詞にあたります。
主語は後半の pasar mucho tiempo contigo の部分です。そのため、Hacer の活用は三人称単数haceになっています。
例文を直訳すると、『君と多くの時間を過ごすことは僕をとても幸せにしてくれる』となります。
例文のように、Hacerを用いて、自分の感情を表現することができます。感情表現については以下の記事で詳しくまとめています。
3. Hacer+不定詞/que 接続法「…させる」
Siempre él le hace esperar a María. (Siempre él hace que espere María.)
いつも彼はマリアを待たせている。
Hacer には『使役』の意味があります。使役というのは、『人を使って何かをさせる』ということです。つまり、誰かに何かをさせるということですね。
この用法は『不定詞』を伴う場合と、『接続法』を伴う場合と2種類あります。これはどちらを用いても同じ意味になります。
基本的は、人に何かをさせるので間接目的語を一緒に使います。
例文中では、間接目的格代名詞leがありますが、これは「彼に(彼女に、あなたに)」という意味です。これだけだと、三人称のうちの誰か分からないのでa Maríaが入っています。
Siempreが冒頭に来ているので、「たまに」ではなく『いつも』待たせていることを強調しています。
4. Hace…「天気が…である」【三人称単数・無主語で】
Anoche hacía mucho calor.
昨夜はとても暑かった。
Hacerの三人称単数形で天候表現ができます。現在の天気を表現するなら直説法現在形のhaceで、過去の天気を表現するなら直説法線過去形のhacíaです。
無主語なのは「誰かが、何かが」天候を作っているわけではないからです。
5. Hace+時間「…前に」【三人称単数・無主語で】
Ella se pone en contacto con la familia dominicana todos los días desde hace un año.
彼女は1年前から毎日ドミニカの家族と連絡をとっている。
Hacer + 時間表現で、前置詞的に『〜前に』と表現できます。例文中では、後半のdesde hace un añoの部分が該当します。
前置詞 desde があるので、「1年前から」となります。hacer un año だけなら、1年前(に)です。
6. Hace+時間+que 直説法「~してから…が経つ」
Hace justo un mes que me mudé a esta casa.
この家に引っ越して、ちょうど1ヶ月になる。
前項の前置詞的用法に似ています。これも無人称表現の一つで、Hacerは三人称単数形に活用されます。
que節内では現在形を伴う場合と過去形を伴う場合があります。
例文では、me mudéになっているので、過去形ですね。引っ越しは、ちょうど1ヶ月前に終わっています。
行為が現在まで及んでいる場合は、que+現在形です。
例えば、次のような場合はどうでしょうか。
Hace justo un mes que vivo en esta casa.
この家に住んでちょうど1ヶ月になる。
Hace justo un mes que viví en esta casa.
この家にちょうど1ヶ月前に住んでいた。
前者は、vivir が現在形vivoになっていますので、住むという行為が現在まで及んでると考えます。
後者は、vivirが過去形vivíになっていますので、住むという行為が過去に終わっていると考えます。
7. Se hace… 「行われる・作られる」【三人称】
Se está haciendo el proyecto en el que mejora el estado nutritivo de niños.
子供の栄養改善をするプロジェクトが行われている。
se 受け身と呼ばれる表現です。三人称で用いられ、「行われる・作られる」となります。
例文の主語はel proyectoです(関係詞で修飾されています)。そのため、助動詞estarは三人称単数に活用されています。estar + 現在分詞で進行形「〜している」を表現できます。
関連 例文から学ぶESTARの意味と活用
8. Hacerse+名詞・形容詞「…になる」
Si yo hubiera entrado en la facultad de medicina, me haría médico.
医学部に入学していたら、医者になっていただろうに。
「Hacer + alguien + 名詞・形容詞」の再帰動詞バージョンです。alguienの部分が、再帰代名詞seになっていると考えましょう。つまり、「自分自身を〜にする」転じて「〜になる」ということです。
例文中では、me haría médico の部分が該当します。過去未来形の haría になっているのは、Si を用いた非現実的仮定文だからです。
Hacerseのような変化を表す動詞を変化の動詞と言い、これについては以下の記事でまとめています。
まとめ
記事の内容をまとめます。
以上です。この記事で Hacer の理解が少しでも深まれば嬉しいです。
\筆者が主に使用している参考書/