例文で学ぶ動詞IRの意味と活用【スペイン語】

IR スペイン語
想定している読者
  • 動詞IRの意味や用法を知りたい人
  • IRの使い方について例文を通して理解を深めたい人

スペイン語動詞IRは非常に使用頻度が高い動詞です。

本記事では、最重要動詞の一つ IR の用法を11の例文で説明していきます。どのように活用されて、その用法にはどんなものがあるのかを紹介していきます。

目次

IR の活用

直説法

現在形

直説法現在形は完全不規則です。

人称 活用 人称 活用
一人称単数
Yo
voy 一人称複数
Nosotros/as
vamos
二人称単数
vas 二人称複数
Vosotros/as
váis
三人称単数
Él, Ella, Usted
va 三人称複数
Ellos, Ellas, Ustedes
van

点過去形

一人称単数形の形 tocé とはなりませんので注意しましょう。

人称 活用 人称 活用
一人称単数
Yo
fui 一人称複数
Nosotros/as
fuimos
二人称単数
fuiste 二人称複数
Vosotros/as
fuisteis
三人称単数
Él, Ella, Usted
fue 三人称複数
Ellos, Ellas, Ustedes
fueron

線過去形

人称 活用 人称 活用
一人称単数
Yo
iba 一人称複数
Nosotros/as
íbamos
二人称単数
ibas 二人称複数
Vosotros/as
ibais
三人称単数
Él, Ella, Usted
iba 三人称複数
Ellos, Ellas, Ustedes
iban

未来形

人称 活用 人称 活用
一人称単数
Yo
irá 一人称複数
Nosotros/as
iremos
二人称単数
irás 二人称複数
Vosotros/as
ireis
三人称単数
Él, Ella, Usted
irá 三人称複数
Ellos, Ellas, Ustedes
irán

過去未来形

人称 活用 人称 活用
一人称単数
Yo
iría 一人称複数
Nosotros/as
iríamos
二人称単数
irías 二人称複数
Vosotros/as
iríais
三人称単数
Él, Ella, Usted
iría 三人称複数
Ellos, Ellas, Ustedes
irían

接続法

現在形

IRの接続法現在形は完全不規則です。

ただし、正書法によって、綴りが変わります。例えば、一人称単数形は toce とはならず、toque になります。これは、点過去形一人称単数形 toqué と時と同様です。
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人称 活用 人称 活用
一人称単数
Yo
vaya 一人称複数
Nosotros/as
vayamos
二人称単数
vayas 二人称複数
Vosotros/as
vayáis
三人称単数
Él, Ella, Usted
vaya 三人称複数
Ellos, Ellas, Ustedes
vayan

過去形

人称 活用 人称 活用
一人称単数
Yo
fuera 一人称複数
Nosotros/as
fuéramos
二人称単数
fueras 二人称複数
Vosotros/as
fuerais
三人称単数
Él, Ella, Usted
fuera 三人称複数
Ellos, Ellas, Ustedes
fueran

動詞IRの用法

“IR”といえば、どこどこへ「行く」という自動詞としての使い方は、よくご存知かと思いますが、辞書を開いてみると、そこには他にもいろいろな用法がたくさん載っています。

IRの用法
  • Ir a [hacia, para] + 場所 ~へ[~の方へ]行く
  • Ir a 不定詞 〜するつもりだ
  • Ir + 形容詞句[過去分詞]・副詞 ~の状態である/(ものごとが)進む
  • Irle a 人(モノ) + 名詞句 人(モノ)に~が合う
  • Ir + 現在分詞 だんだん~する
  • Ir a por + 名詞 〜を呼び(探しに)行く
  • Irse 行ってしまう/(人が)亡くなる
  • Irse a 人 (体の一部などが)コントロールを失う

Ir a [hacia, para] + 場所 ~へ[~の方へ]行く

まずは一番基本的な用法を確認しましょう。Ir +[a, para, hacia]の形です。前置詞a, para, hacia を伴って、どこどこに行くという意味を持ちます。

Si hubiéramos ido al aeropuerto en taxi, llegaríamos a tiempo.
「もし、タクシーで空港へ行っていたら、間に合ったのに。」

条件文Siの中にIRがあります。hubiéramos ido の部分です。その後に前置詞a と一緒に場所を示す名詞el aeropuertoがありますので「空港へ行く」という意味になります。en taxi の前置詞 en は手段を表し「タクシーで」となります。
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¿A dónde va Pedro? – Seguramente va para la estación.
「ペドロどこに行った? – 確か駅の方に向かって行ったよ。」

疑問文の形は、どこへ行ったのかを言うためには、dónde の前に前置詞 a を伴います。冒頭の前置詞A によって、ペドロはどこへ行った?という疑問文になります。

後半の文には、va の後に前置詞 para がありますが、これは前置詞a よりもどこへ行ったのか明確ではなく、「〜の方へ」という意味になります。前置詞hacia も同じです。

Ir + a 不定詞 〜するつもりである/〜しに行く

これもよく使用される重要表現です。Ir + a + 不定詞で「〜するつもりである/〜しに行く」となります。2種類 ①「〜するつもり」と ②「〜しに行く」の意味があります。

「〜しに行く」というのは、前述した自動詞としての「行く」の延長線にあると思ってください。①の用法は直説法未来形を用いなくても、近い未来を表現できるので、よく用いられます。

Voy a estudiar el español en cuanto regrese a la casa.
「スペイン語を勉強するつもりです、家に帰ったらすぐに。」

「Voy a estudiar el español 」ですので、「スペイン語の勉強をします(するつもりです)」となります。ここでの en cuanto 以降のfrase については、接続法が適用されています。

「en cuanto +接続法」で「〜するとすぐに」という意味ですので、en cuanto 以降のfrase は「家に帰ったら、すぐに」という意味になります。

Tendré que ir al hospital a hacer el examen mañana.
「明日、検査を受けに病院にいかなければいけない。」

まず 「tener que 不定詞」 から説明していきましょう。これもよく用いられる定型表現で「〜しなければいけない」です。ここでの tener は直説法未来形で tendré になっています。

続いて、ir al hospital で「病院に行く」ということですが、何をしに行くのかを表しているのが、前置詞 a 以降の frase です。hacer el examen は「検査を受ける」ですので、「病院に検査を受けに行く」という意味になります。
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Ir + 形容詞句[過去分詞]・副詞 ~の状態である/(ものごとが)進む

IR + 形容詞・副詞の形で、物事が進む、ある状態であることを表現できます。

¿Cómo va tu hermana? – Ella va muy bien.
「君のお姉さん(妹さん)の調子はどう? – とても調子がいいよ。」

ここでのva は主語であるtu hermana がどう進んでいるか、どんな状態にあるかという意味を持ちます。IRの後ろに形容詞もしくは副詞がきます。本文中では、Cómo とmuy bien が副詞句です。

¡Que te vaya bien! Hasta luego.
「君にとって全てうまくいきますように。またね。」

vaya が動詞IRの活用形です。teは間接目的格代名詞で「君に対して」という意味です。主語は省略されていますが、物事全体です。そのため、この用法の際には動詞 Ir は三人称単数形をとります。「物事が君にとってうまくいきますように」という願いを込めた表現です。

Irle a 人(モノ) + 名詞句 人(モノ)に~が合う

Irle a 〜 で「〜に合う」です。何かが別の何かに合うと言いたい場合に使います。服や腕時計が人に似合う場合も使用できます。

La cerveza le va bien a la comida en la que se echan ajos.
「ビールは、ニンニクが入っている料理によく合う。」

例文では la cerveza ビールが主語です。これが何に合うのかというと a la comida en la que se echan ajos の部分です。la comida 料理に合うと言っていますが、en 以降でその la comida を修飾しています。

en la que 以下は 「ajos ニンニクが入っている(ニンニクが入れられた)」という説明になります。他にも例えば「ワインが魚に合う」といいたければ「El vino le va al pezcado」ですし、「スカートが君に似合う」は「La falda le va a ti」となります。
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Ir + 現在分詞 だんだん~する

IR + 現在分詞 で「だんだん〜する」という表現ができます。温度がだんだん暑くなるという表現もこれでできます。例文を見ていきましょう。

Hace un mes que vivo aquí y voy acostumbrándome al nuevo ambiente.
「ここに住んで1ヶ月になるが、だんだん新しい環境に慣れてきた。」

該当箇所は voy acostumbrándome の部分です。acostumbrarse a 〜 は「〜に慣れる」という動詞ですので、例文中の後半部分は「新しい環境にだんだん慣れる」ということになります。acostumbrarse は現在分詞の形ですので、アクセント注意です。

Ir a por + 名詞 〜を呼び(探しに)行く

Ir + a + por + 名詞の形で「〜を呼びに(探しに)行く」という表現ができます。

Si no vuelves a las 6 de la tarde, voy a por ti.
「6時までに戻らなかったら、探しに行くからね。」

前置詞a とpor が続きますが、間違いではないです。似たような表現としては「Voy a buscarte」があります。これで「迎えに行くね」ということができます。

Irse 行ってしまう/(人が)亡くなる

再帰動詞Irse を見ていきます。意味は「行ってしまう」とか「(人が)なくなる」です。実際の会話でも「me voy」とか「¿Te vas?」などよく聞かれます。「行く」よりも「去る」という意味の方が強いと思います。

あとは自動詞「〜へ行く」と同じように使えば「どこどこへ行ってしまう」という表現ができます。

¿La madre ya se fue al supermercado para comprar el queso?
「お母さんもうチーズ買いに行っちゃった?」

例文中は「¿La madre ya se fue al supermercado?」で「お母さん、もうスーパーに行っちゃった?」というニュアンスになります。またその場を去る際にも「じゃあもう行くね」くらいの気持ちで「Ya me voy 」と言ったりします。

Irse a 人 (体の一部などが)コントロールを失う

最後に「Irsele」です。これは「〜しちゃった」表現のひとつです。無意識のうちに何かをしてしまった場合に用いられます。他にも「何かをなくしちゃった(perdersele)」などがあります。「Irsele」は「(体の部位が)コントロールを失う」という意味を持ちます。

Se me ha ido la lengua y he dicho a los demás el secreto del amigo.
「口が滑って、友人の秘密を他人に話してしまった。」

該当部分は Se me ha ido la lengua です。主語は la lengua です。「しちゃった」表現では、主語は動詞の後ろに来ます。再帰動詞Irseの活用は se ha ido です。⑤と合わせて直訳すると la lengua がどこか行ってしまったということです。

途中にある me は間接目的格代名詞です。「私に対して」という意味です。つまり la lengua が私に対して、どこか行ってしまったというニュアンスになります。意訳して「口がコントロールを失う」、もっと意訳して「口が滑っちゃった(無意識のうちに)」となります。


いかがでしたでしょうか。動詞 IR だけでこれだけのことが表現できるなんて、すごく面白いですよね。

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