本記事では、最重要動詞の一つ IR の用法を11の例文で説明していきます。どのように活用されて、その用法にはどんなものがあるのかを紹介していきます。

・元高校数学教師
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IR の活用
直説法
現在形
直説法現在形は完全不規則です。
人称 | 活用 | 人称 | 活用 |
一人称単数 Yo | voy | 一人称複数 Nosotros/as | vamos |
二人称単数 Tú | vas | 二人称複数 Vosotros/as | váis |
三人称単数 Él, Ella, Usted | va | 三人称複数 Ellos, Ellas, Ustedes | van |
点過去形
一人称単数形の形 tocé とはなりませんので注意しましょう。
人称 | 活用 | 人称 | 活用 |
一人称単数 Yo | fui | 一人称複数 Nosotros/as | fuimos |
二人称単数 Tú | fuiste | 二人称複数 Vosotros/as | fuisteis |
三人称単数 Él, Ella, Usted | fue | 三人称複数 Ellos, Ellas, Ustedes | fueron |
線過去形
人称 | 活用 | 人称 | 活用 |
一人称単数 Yo | iba | 一人称複数 Nosotros/as | íbamos |
二人称単数 Tú | ibas | 二人称複数 Vosotros/as | ibais |
三人称単数 Él, Ella, Usted | iba | 三人称複数 Ellos, Ellas, Ustedes | iban |
未来形
人称 | 活用 | 人称 | 活用 |
一人称単数 Yo | irá | 一人称複数 Nosotros/as | iremos |
二人称単数 Tú | irás | 二人称複数 Vosotros/as | ireis |
三人称単数 Él, Ella, Usted | irá | 三人称複数 Ellos, Ellas, Ustedes | irán |
過去未来形
人称 | 活用 | 人称 | 活用 |
一人称単数 Yo | iría | 一人称複数 Nosotros/as | iríamos |
二人称単数 Tú | irías | 二人称複数 Vosotros/as | iríais |
三人称単数 Él, Ella, Usted | iría | 三人称複数 Ellos, Ellas, Ustedes | irían |
接続法
現在形
IRの接続法現在形は完全不規則です。
ただし、正書法によって、綴りが変わります。例えば、一人称単数形は toce とはならず、toqueになります。これは、点過去形一人称単数形 toqué と時と同様です。
関連 接続法における動詞の活用の仕方【スペイン語】
人称 | 活用 | 人称 | 活用 |
一人称単数 Yo | vaya | 一人称複数 Nosotros/as | vayamos |
二人称単数 Tú | vayas | 二人称複数 Vosotros/as | vayáis |
三人称単数 Él, Ella, Usted | vaya | 三人称複数 Ellos, Ellas, Ustedes | vayan |
過去形
人称 | 活用 | 人称 | 活用 |
一人称単数 Yo | fuera | 一人称複数 Nosotros/as | fuéramos |
二人称単数 Tú | fueras | 二人称複数 Vosotros/as | fuerais |
三人称単数 Él, Ella, Usted | fuera | 三人称複数 Ellos, Ellas, Ustedes | fueran |
動詞IRの用法
“IR”といえば、どこどこへ「行く」という自動詞としての使い方は、よくご存知かと思いますが、辞書を開いてみると、そこには他にもいろいろな用法がたくさん載っています。
Ir a [hacia, para] + 場所 ~へ[~の方へ]行く
まずは一番基本的な用法を確認しましょう。Ir +[a, para, hacia]の形です。前置詞a, para, hacia を伴って、どこどこに行くという意味を持ちます。
Si hubiéramos ido al aeropuerto en taxi, llegaríamos a tiempo.
「もし、タクシーで空港へ行っていたら、間に合ったのに。」
解説
条件文Siの中にIRがあります。hubiéramos ido の部分です。その後に前置詞a と一緒に場所を示す名詞el aeropuertoがありますので「空港へ行く」という意味になります。en taxi の前置詞 en は手段を表し「タクシーで」となります。
関連 Siを使った仮定文は『イマイマ』『カコカコ』『カコイマ』を考えよ【スペイン語接続法】
¿A dónde va Pedro? – Seguramente va para la estación.
「ペドロどこに行った? – 確か駅の方に向かって行ったよ。」
解説
疑問文の形は、どこへ行ったのかを言うためには、dónde の前に前置詞 a を伴います。冒頭の前置詞A によって、ペドロはどこへ行った?という疑問文になります。
後半の文には、va の後に前置詞 para がありますが、これは前置詞a よりもどこへ行ったのか明確ではなく、「〜の方へ」という意味になります。前置詞hacia も同じです。
Ir + a 不定詞 〜するつもりである/〜しに行く
これもよく使用される重要表現です。Ir + a + 不定詞で「〜するつもりである/〜しに行く」となります。2種類 ①「〜するつもり」と ②「〜しに行く」の意味があります。
「〜しに行く」というのは、前述した自動詞としての「行く」の延長線にあると思ってください。①の用法は直説法未来形を用いなくても、近い未来を表現できるので、よく用いられます。
Voy a estudiar el español en cuanto regrese a la casa.
「スペイン語を勉強するつもりです、家に帰ったらすぐに。」
解説重要表現
「Voy a estudiar el español 」ですので、「スペイン語の勉強をします(するつもりです)」となります。ここでの en cuanto 以降のfrase については、接続法が適用されています。
「en cuanto +接続法」で「〜するとすぐに」という意味ですので、en cuanto 以降のfrase は「家に帰ったら、すぐに」という意味になります。
Tendré que ir al hospital a hacer el examen mañana.
「明日、検査を受けに病院にいかなければいけない。」
解説
まず 「tener que 不定詞」 から説明していきましょう。これもよく用いられる定型表現で「〜しなければいけない」です。ここでの tener は直説法未来形で tendré になっています。
続いて、ir al hospital で「病院に行く」ということですが、何をしに行くのかを表しているのが、前置詞 a 以降の frase です。hacer el examen は「検査を受ける」ですので、「病院に検査を受けに行く」という意味になります。
関連 TENERの意味や用法を11の例文で理解
Ir + 形容詞句[過去分詞]・副詞 ~の状態である/(ものごとが)進む
IR + 形容詞・副詞の形で、物事が進む、ある状態であることを表現できます。
¿Cómo va tu hermana? – Ella va muy bien.
「君のお姉さん(妹さん)の調子はどう? – とても調子がいいよ。」
解説
ここでのva は主語であるtu hermana がどう進んでいるか、どんな状態にあるかという意味を持ちます。IRの後ろに形容詞もしくは副詞がきます。本文中では、Cómo とmuy bien が副詞句です。
¡Que te vaya bien! Hasta luego.
「君にとって全てうまくいきますように。またね。」
解説
vaya が動詞IRの活用形です。teは間接目的格代名詞で「君に対して」という意味です。主語は省略されていますが、物事全体です。そのため、この用法の際には動詞 Ir は三人称単数形をとります。「物事が君にとってうまくいきますように」という願いを込めた表現です。
Irle a 人(モノ) + 名詞句 人(モノ)に~が合う
Irle a 〜 で「〜に合う」です。何かが別の何かに合うと言いたい場合に使います。服や腕時計が人に似合う場合も使用できます。
La cerveza le va bien a la comida en la que se echan ajos.
「ビールは、ニンニクが入っている料理によく合う。」
解説
例文では la cerveza ビールが主語です。これが何に合うのかというと a la comida en la que se echan ajos の部分です。la comida 料理に合うと言っていますが、en 以降でその la comida を修飾しています。
en la que 以下は 「ajos ニンニクが入っている(ニンニクが入れられた)」という説明になります。他にも例えば「ワインが魚に合う」といいたければ「El vino le va al pezcado」ですし、「スカートが君に似合う」は「La falda le va a ti」となります。
Ir + 現在分詞 だんだん~する
IR + 現在分詞 で「だんだん〜する」という表現ができます。温度がだんだん暑くなるという表現もこれでできます。例文を見ていきましょう。
Hace un mes que vivo aquí y voy acostumbrándome al nuevo ambiente.
「ここに住んで1ヶ月になるが、だんだん新しい環境に慣れてきた。」
解説
該当箇所は voy acostumbrándome の部分です。acostumbrarse a 〜 は「〜に慣れる」という動詞ですので、例文中の後半部分は「新しい環境にだんだん慣れる」ということになります。acostumbrarse は現在分詞の形ですので、アクセント注意です。
Ir a por + 名詞 〜を呼び(探しに)行く
Ir + a + por + 名詞の形で「〜を呼びに(探しに)行く」という表現ができます。
Si no vuelves a las 6 de la tarde, voy a por ti.
「6時までに戻らなかったら、探しに行くからね。」
解説
前置詞a とpor が続きますが、間違いではないです。似たような表現としては「Voy a buscarte」があります。これで「迎えに行くね」ということができます。
Irse 行ってしまう/(人が)亡くなる
再帰動詞Irse を見ていきます。意味は「行ってしまう」とか「(人が)なくなる」です。実際の会話でも「me voy」とか「¿Te vas?」などよく聞かれます。「行く」よりも「去る」という意味の方が強いと思います。あとは自動詞「〜へ行く」と同じように使えば「どこどこへ行ってしまう」という表現ができます。
¿La madre ya se fue al supermercado para comprar el queso?
「お母さんもうチーズ買いに行っちゃった?」
解説
例文中は「¿La madre ya se fue al supermercado?」で「お母さん、もうスーパーに行っちゃった?」というニュアンスになります。またその場を去る際にも「じゃあもう行くね」くらいの気持ちで「Ya me voy 」と言ったりします。
Irse a 人 (体の一部などが)コントロールを失う
最後に「Irsele」です。これは「〜しちゃった」表現のひとつです。無意識のうちに何かをしてしまった場合に用いられます。他にも「何かをなくしちゃった(perdersele)」などがあります。「Irsele」は「(体の部位が)コントロールを失う」という意味を持ちます。
Se me ha ido la lengua y he dicho a los demás el secreto del amigo.
「口が滑って、友人の秘密を他人に話してしまった。」
解説
該当部分は Se me ha ido la lengua です。主語は la lengua です。「しちゃった」表現では、主語は動詞の後ろに来ます。再帰動詞Irse の活用は se ha ido です。⑤と合わせて直訳すると la lengua がどこか行ってしまったということです。
途中にある me は間接目的格代名詞です。「私に対して」という意味です。つまり la lengua が私に対して、どこか行ってしまったというニュアンスになります。意訳して「口がコントロールを失う」、もっと意訳して「口が滑っちゃった(無意識のうちに)」となります。
いかがでしたでしょうか。動詞 IR だけでこれだけのことが表現できるなんて、すごく面白いですよね。
他の動詞については動詞の自主学習室【スペイン語】にて一覧をまとめてありますので、意味や用法を知りたい動詞があればぜひご覧ください。
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