スペイン語辞書の効果的な使い方【辞書は単語帳じゃない】

- 辞書で何度も同じ単語を引いてしまっている人
- 学習に効果的な辞書の活用方法を知りたい人
- 掲載されている単語数が多すぎて、どうやって辞書を活用したらいいか分からない人
スペイン語学習に限らず、語学を進めていく上で重要なツールは『辞書』です。有能な辞書であれば1冊持っていれば、それだけで意味のある学習ができたりします。
辞書を単語の意味を調べるだけに使っているなら、非常にもったいないと思います。
そこでこの記事では、スペイン語辞書を最大限有効活用できるように、辞書が持つ役割や効果的な使い方をまとめました。
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辞書をどうやって活用したらいいかを考えること自体が重要な過程です。自分ならどう活用するかを考えるきっかけになれば嬉しいです。
辞書の役割

例文を分析して単語の使われ方を確認できること
辞書は単語帳とは全く役割が違います。
辞書の役割は、例文を確認し、単語がどのように使われているのかを確認することにあります。単語には複数の意味を持つものが多く存在しますが、それぞれについて記されている例文を読み込むことが重要です。
単語の意味だけを追うのではいけない。数ある意味からそれらしい意味を選んでおしまいではもったいないのです。
一方、単語帳は特に使われる単語を抜き出し、スリムにまとめたものです。そのため、重要な単語や表現を手軽に学べる点で、スペイン語初心者にとっては使いやすい学習ツールになっています。
しかしその手軽さゆえ、中身が十分でなかったり、例文が足りなかったりするのも事実です。
関連 【スペイン語】単語帳は必要か?その意味と本質を考える

筆者は単語帳と辞書を次のように使い分けています。
時間をかけて丁寧に例文を確認して、単語の使われ方を理解する
その単語の重要な意味だけを何度も繰り返し確認する
だからこそ、辞書を使う際に『単語帳的な』使い方は好ましくないと考えています。
知らない単語を辞書で探して、意味だけを確認して終わりにしていませんか。辞書をそのように使っているなら単語帳で十分です。
関連 【初心者向け】スペイン語単語帳のルールと進め方

辞書を使う上での基本的な考え方
筆者は、辞書を使う際には3つのことに気をつけています。筆者は電子辞書よりも『紙辞書』推進派ですので、ここでは紙辞書を前提に話をしていきます。
- 丁寧に時間をかける
- 一度調べた単語はマーカーなりチェックする
- 何でもかんでもすぐに辞書で調べない
1. 丁寧な索引
本記事は賢い辞書の使い方(外部リンク)の考え方に共感しています。そこでは時間をかけた丁寧な使い方が書かれています。
前述したように、単語の意味を表面的につまんでいくのではなく、丁寧に時間をかけてじっくりと単語と向き合うようにしたいところです。
実際、例文を確認して、マーカーでチェックして…などをしていたら、時間がかかってしまうものです。それが煩わしいと思うなら、単語帳を使用することをオススメします。
2. 索引履歴を残す
また、一度調べた単語や表現はマーカーなりアンダーラインを引くなりしてチェックしましょう。これは、視覚的に『検索履歴』が分かるようにするためです。
ページを開いた時に、マーカーが引いてあれば、自然と目がいきますから、意図せず復習することができます。
さらに、マーカーを引くことで、自分の『学習履歴』も残ります。自分の努力が見えると、より学習に対するモチベーションが上がります。
実際、筆者もマーカーしたり、書き込んだりしていますが、そのページを見返すだけで、やる気が上がります。
ただし、マーカーを引く上で注意するべきことは『引きすぎない』ということです。ページのほとんどが色付けされていたら、どれが重要なのか判別が難しく煩雑なものになってしまいます。
3. 容易に索引しない
スペイン語の文章を読んでいて知らない単語に出会った時すぐに、辞書を引くことはできるだけ避けたほうがいいでしょう。
例えば、問題を解いていて、分からないからすぐに答えをみるという学習方法は効果的だと思いますか。

知らない単語をすぐに辞書で調べることは、自分で思考せずすぐに答えをみてしまうことと同じです。
辞書で調べる前に一度、その文脈においてどんな意味なのかを予測しましょう。
しかしながら、どうしても分からない場面もあると思います。その場合は、品詞だけでも予想しましょう。名詞なのか、形容詞なのか、副詞なのか、はたまた動詞が活用した形なのか。
辞書の使い方


ここでは、紙辞書(西和中辞典 第2版)の使い方を紹介します。筆者は、学習の方法は何でもいいと考えていますので、あくまで参考にしてください。
クリックすると詳細に飛びます。
「辞書を活用するのに5ステップもあるの?」と疑問に思った方は、ぜひ最後まで読んでいってください。
辞書を十分に活用できていない人の多くはSTEP2か3までしかやっていません。電子辞書の場合、STEP4,5がしにくいので、筆者は紙辞書を用いています。
STEP1:マーキング
マーキングしたほうがいい理由については前述しました。何をどのようにマーキングすべきかという点ですが、『引きすぎない』ことを意識した上で自分流を作ってみてください。
筆者は、単語名・意味・例文をそれぞれ色を分けてマーキングしています。



マーカーする際は、必ず自分のルールを設けたほうがいいです。
単語名は調べたら必ずマーカーしています。これは、2回目以降調べた時にすぐに目に入るようにするためです。
意味は全ての意味をマークせずに重要と思われる用法だけに絞っています。これは人によってはマークしなくてもいいかもしれません。
例文は自分が音読しやすくするために引いています。


STEP2:品詞と意味を確認
単語をマーキングした後にすべきなのは品詞の確認です。品詞とは『名詞・動詞・形容詞・副詞』などの言葉の種類のことです。既にわかっている場合は飛ばして結構ですが、知らない単語の場合は必ずチェックしましょう。
スペイン語では日本語と違って、形容詞が主語の性や数によって形が変化したり、名詞は男性名詞・女性名詞が分かれていたりします。性数一致が間違っていたり、名詞に伴う冠詞が違うだけで、スペイン語は相手に通じません。
だからこそ、品詞の確認は最初にやりましょう。
スペイン語の単語には、複数意味を持つものが数多くあります。そのため、掲載されている意味全てに目を通すべきです。日本語はあくまでも「日本語だったらこうかな?」と置き換えられたものにすぎません。ですので、あまり日本語訳を鵜呑みにしてはいけません。
その単語が持つ全ての意味を俯瞰することで、単語が含み持つイメージを何となく理解できるようになります。個々だけをみず、全体を見渡しましょう。
STEP3:例文を確認
辞書のメリットは、単語の意味に応じて例文がいくつも掲載されていることです。これを活用しない手はありません。
まずは、知りたい単語が文章中・フレーズ中でどう使われているか分析しましょう。この過程は、意味を理解するだけでなく、文法の学習にもなります。



『例文分析』は個人的にオススメの学習法です。
その後は、その例文を何度も音読しましょう。目安はスラスラ読めるようになるまでです。


STEP4:自分の気づきを書き込む
紙辞書の利点は、余白に書き込みができることです。電子辞書との差別化はここです。自分の好きなように書き込むことができます。



書き込む内容はなんでもいいです。
参考に筆者が書き込んでいることを紹介します。
自分の理解や気付きを『自分の言葉で』書くことによって、視覚化されてより深く理解できます。
また、同じページに行き着いた時に、自然と目が入るので、復習もできます。メリットしかないから、やらない手はないです。
STEP5:その単語を基に”縦に”、”横に”広げる
「縦に、横に広げる」というのは、どういうことか。
例) Discutir
例えば、Discutir という単語を調べるとします。まずは、上記の0〜3(*4)の方法で Discutir の理解を深めます。
Discutir が動詞であることが分かったので、今度はその派生形(名詞形や形容詞形、副詞形)を調べます。すると Discusión, Discutido/a, Discutible などがみつかります。これが『縦に広げる』ということです。
スペイン語辞書には近くに派生した単語が掲載されていることが多いです。『議論』という同じ仲間でまとめて覚えてしまったほうが効率的ですし、繋がりがよく分かります。
一方で、Discutido/a の例文を見てみると、un libro muy discutido (とても話題になっている本)などが書かれています。
つまり、Discutido と libro が繋がります。これが別の仲間を繋ぐという意味で『横に広げる』ということです。
単語はそれ一つの理解で終わりにせず、”縦に”、”横に”広げていくことで無限の広がりを見せます。


まとめ
記事の内容をまとめます。
辞書を読むこと自体が本当に面白いと感じる今日この頃です。筆者は小学館の西和中辞典を愛用していますが、掲載単語数と例文数が圧倒的に多いので、例文分析が非常に捗ります。
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