前置詞 para は非常によく使われる反面、使い方に悩むことが少なくありません。例えば「para + 不定詞」「para que + 接続詞」のどちらになるのかなどは悩みポイントの一つです。
この記事では、それらの考え方を説明しつつ、接続法の頻出表現である「para que 接続法」について例文を通して解説していきます。
目的の接続詞の考え方
まず基本の型ですが、目的の接続詞が表す副詞節においては必ず接続法を適用します。なぜなら、その内容はその時点でまだ具体化していない事柄だと考えられるからです。まだ具体化していないというのは、まだ起きていないと考えてもいいです。
主節 + 目的の接続詞 + 接続法
非現実な事柄や不確実な事柄に対しては、接続法を用いますので、para que や de manera que の後に続く動詞は、接続法に活用されるのです。
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これらの接続詞を観察すると、前置詞(や副詞句)と接続詞 que や cuando を組み合わせてできたものだと分かります。
para 〜 と para que 〜の使い分け
接続法を学習していると、例えば para vivir とすべきか、para que viva とすべきかで迷ってしまったり間違えてしまうことがあります。
動詞の行為者によって使い分ける
そもそも前置詞の後に続く語には基本的には名詞(名詞句,名詞節)しかきません。名詞そのもの(例えば el trabajo)を伴って、para el trabajo(仕事のために)となったり、動詞の不定形(例えば vivir)を伴って、para vivir (生きるために)となったりします。
一方、接続詞 que は名詞節や副詞節を導いたりします。節を導くというのは、主語と動詞を伴うということです。名詞節なら『que + 主語 + 動詞』の形で「…が〜するということ」という意味になります。この場合、動詞は活用されます。
para と para que の使い分けは動詞の行為者のよります。つまり、前置詞 para 以降の主体が誰なのかを考えましょう。
Ayudar の行為者は『私』。つまり、主節の主語 Yo(省略されている)なので para ~~ となる。
Enseñar の行為者は『君』。つまり、主節の主語 Yo とは異なるので para que ~~ となる。
目的の接続詞を例文で理解
para que 〜するために
Me llevará a la ciudad para que la conozca.
– 私が街を知れるように連れて行ってくれるでしょう。
Me llevó a la ciudad para que la conociera.
– 私が街を知れるように連れて行ってくれた。
解説
主節の主語は省略されていますが、三人称単数の『誰か』です。冒頭の Me は直接目的格代名詞ですので、Me llevará a la ciudad で「私を街へ連れて行ってくれるでしょう」ということです。
これだけでも文は成り立ちますが、理由や目的を添えてあげると表現が広がります。そのための para que ~~ です。para que 内の主語は「yo 私」です。主節内の主語と異なっていますね。
ここでもし para que la conozca ではなくて、para conocerla だとすると、動詞 Conocer の行為者(主語)が、主節内での主語『誰か』になってしまいますので、間違えないようにしましょう。
de manera que 〜できるように
Mi padre me dará dinero de manera que vaya de viaje a Panamá.
– 父は私がパナマへ旅行に行けるようにお金をくれるでしょう。
Mi padre me dio dinero de manera que fuera de viaje a Panamá.
– 父は私がパナマへ旅行に行けるようにお金をくれた。
解説
主節の主語は Mi padre で、動詞は dará です。dará は Dar(与える)の未来形です。未来形は水量の意味を持つので、Mi padre me dará dinero で「父は私にお金をくれるでしょう」という意味になります。
ここで文自体は成立しますが、de manera que ~ という副詞節を使って修飾しています。副詞節内の主語は省略されていますが「yo 私」です。
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このように『誰かが…できるように〜する』という表現は de manera(modo, forma) que を用います。
para cuando 〜するときのために/〜するときまでに
ここでは『時制の一致』についてみていきます。主節が現在形なら従属節も現在形、主節が過去形なら従属節も過去形になるのが、時制の一致という考え方です。まず次の3つの例文をよく観察してみましょう。
Voy a comprar muchos regalitos para cuando vuelva a Japón.
– 日本に帰るときのためにたくさんお土産を買うつもりです。
He comprado muchos regalitos para cuando vuelva a Japón.
– 日本に帰るときのためにたくさんお土産を買いました。(今しがた買ってきたところ)
Compré muchos regalitos para cuando volviera a Japón.
– 日本に帰るときのためにたくさんお土産を買いました。(過去のある時点で既に購入済)
解説
主節の動詞がそれぞれ異なります。近い未来を表す Voy a comprar、現在完了形の He comprado、過去形 Compré となっています。この中で一番扱いに困るのは現在完了形の He comprado でしょう。
日本語で考えると「買いました」と、過去の出来事のように訳されますが、para cuando が作る節の時制は現在形 vuelva になっています。主節が現在完了形でも従属節は現在形です。
それに対して、主節が Compré(過去形)ならば、従属節も過去形、つまり動詞 Volver は 接続法現在形 volviera になります。
ちなみに、para cuando は時の接続詞とも目的の接続詞ともどちらとも意味が取れそうです。前置詞 para を「ために」と訳すか「までに」と訳すかで変わってきます。
考え方行為がその時まで続く
考え方行為がその時までに終わる
待つという行為は、講師が到着するまでずっと続けないといけないのに対して、部屋の掃除という行為は、彼女が到着するまでに終わっていればいい(ずっと続ける必要はない)ということです。
まとめ
記事の内容をまとめます。
音読は語学習得の1番の近道です。例文をスラスラ読めるようになってきたら、例文を参考に口頭で作文してみましょう。
確認【音読のメリット5選】文章をスラスラ読めるようになりたい人へ【スペイン語】
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