前置詞”a”の用法をわかりやすく図解【スペイン語】

- 前置詞 a の意味や使い方を理解したい人
- スペイン語学習の入門者
前置詞の意味や用法は、スペイン語をそれなりに勉強した人でさえ悩む文法事項の一つだと言われています。
本来、スペイン語の前置詞は17個ありますが、それぞれの使い方が多岐に渡っているからです。
今回は、その中でも前置詞 a の使い方を見ていきます。
前置詞aの全体像
中級スペイン文法によれば、前置詞aは3つの用法に大別できます。
- 基本的用法を持つ前置詞 a
- 構文を作る前置詞 a
- 目的語にくっつく前置詞 a
筆者は前置詞”a”が持つイメージを『ある点に向けた矢印の先っぽ』だと解釈しています。これは筆者が勉強しながら、勝手に解釈し、勝手に納得したものです。

前置詞 a の基本的用法
基本的用法には主に次の9個があります。
- 方向
- 場所
- 時点
- 隔たり(空間的・時間的)
- 手段
- 様態
- 比較
- 数量
- スポーツ
『ある点に向けた矢印の先っぽ』というイメージを持って、それぞれの意味を考えていきましょう。
1. 方向

He llagado a Kumejima.
私は久米島に着いた。
ある地点に向けて「行く、来る」などの方向の意味を持ちます。
2. 場所

a la derecha
右に
『方向』の考え方に似ていますが、「〜のところで』のような場所を表す場合にも使われます。熟語表現として覚えてしまうといいでしょう。
- a la derecha 右に
- a la izquierda 左に
- a la puerta ドアのところで
- a la salida 出口で
- a la entrada 入口で
3. 時点

Me casé a los 30 años.
私は30歳で結婚しました。
「何かの行動・行為がある時点で起きた」とした場合に用います。例文では、人生の中の30歳という時点で結婚したので a los 30 años になっています。
4. 隔たり
空間的な隔たりと時間的な隔たりがあります。

Vivo a 5 kilómetros del aeropuerto.
私は空港から5キロのところに住んでいます。
空港から自分の家までの空間的隔たりは5キロメートルあります。距離がどれだけ離れているかを表します。
Vivo a 5 minutos del aeropuerto en coche.
空港から車で5分のところに住んでいます。
上記の例のように時間的な隔たりとしても使えます。
5. 手段

pan hecho a mano.
手作りパン
前置詞 a は『手段』としても用いられます。よく使うのは、a mano「手で」や a pie 「徒歩で」、a máquina「機械で」などが挙げられます。
6. 様態

Tacos a la mexicana.
メキシコ風タコス
様態とは『物事の状態、様子のこと』を言います。ここでは「〜風に、〜流に」となります。
メキシコ本場のタコスではなくて、例えば日本でメキシコのタコスを作ったとしたら、それは『メキシコ風タコス』ですよね。スペイン風は a la española で日本風は a la japonesa となります。
7. 比較

Prefiero el pescado a la carne.
お肉よりも魚の方がいい。
何かを比較するには、比較する対象を指定する必要があります。「Aの方がいい」というのは比較にならなくて、「Bよりも」という比較対象のBが必要です。前置詞 a が、いくつか比較対象がある中からBを指定しているというわけです。
8. 数量

Un racimo del platano se vende a 300 yenes.
バナナ一房が300円で売られている。
バナナの価格は変動します。前置詞 a は、そんな変動する価格の中でも、300円という価格に決めるという役割を担っています。
このように数ある数量のうち一つの数量に指定する時は前置詞 a が使われます。
9. スポーツ

Jugar al fútbol
サッカーをする
何かスポーツをする際に「Jugar a スポーツ」という形になりますが、なぜ「Jugar el fútbol 」ではなく、前置詞 a が必要なんでしょうか。
ここでの Jugar は自動詞で「遊ぶ」という意味になります。直接目的語「〜を」がなくても意味が通ります。そこで、「サッカーをして遊ぶ」としたい場合は、「Jugar el fútbol 」とはせずに、前置詞 a を伴って「Jugar al fútbol 」とします。
いくつか種目(テニス、野球、トランプなど)がある中から、1つに指定していると考えて前置詞 a を用います。
前置詞 a を用いた構文
前置詞 a は熟語や構文を形成します。頻繁に使われる「Ir + a + 不定詞」などもこの用法の一つです。
関連 例文で学ぶ動詞IRの意味と活用【スペイン語】
- a + 不定詞
- al + 不定詞
a + 不定詞
中級スペイン文法から引用すると、
a decir verdad「実を言うと」
a juzgar por「〜から判断すると」
ir a comprar「買う予定だ」
などがあります。
al + 不定詞
Al llegar a la estación de Tokio,
東京駅に着いた時
al + 不定詞は「〜するとき」という意味になります。接続詞 Cuando を使わなくても、動詞の活用不要で同様の表現ができます。
前置詞 a を伴う目的語
前置詞 a は目的語の前に置かれます。
直接目的語「~を」が人や擬人化された事物の場合は、前置詞 a を伴います。
Voy a presentarte a mi amigo de México.
君にメキシコの友達を紹介するよ。
a mi amigo は動詞 presentar の直接目的語『〜を』になっています。el amigo は人物ですので、直前に前置詞 a を伴います。
また間接目的語「~に」も同じく前置詞 a をとります。
Tenías que llamar a tu directora por teléfono.
君は上司に電話しないといけなかったね。
a tu directora は動詞 llamar の間接目的語『〜に』になっています。
まとめ
前置詞はスペイン語文法の中で重要な要素ですが、その反面、複雑で理解しづらい部分がかなりあります。筆者もこの記事をまとめている中で、前置詞の奥深さや面白さに触れることができました。
熟語を一つとっても、例えば『Ir a 不定詞』なんかを暗記すれば使うことができますが、そこに、前置詞 a の用法はなんなのかという『理解』が加わると、確固とした知識になるはずです。
初心者の人は、最初は細かいところは気にせず知識をどんどん吸収していって、余裕が出てきたら文法の細かい点についても学習してみてください。
以上です。ここまで読んでくださりありがとうございます。
筆者が文法学習で使用している参考書は以下の2つです。
\筆者が主に使用している参考書/