スペイン語を学習しはじめて、「自分のスペイン語レベルがどの程度なのか」知りたいと思った時に受験を考えるのがDELE A2レベルでしょう。
A2は『簡単な既知の内容や習慣の会話、自身の過去の出来事や身の回りで起こったことの描写など、必要に応じて表現することができるレベル』です。初級と表現されていますが、自分の身の回りのことを表現できるレベルとなると、決して簡単とは言えません。
合格への第一歩は『問題と傾向を知ること』です。まずはどんな問題が出題されるのかをじっくりと観察して、その後で「合格のためにはどんな対策をしていけば良いのか」を考えてみましょう。

・元高校数学教師
・JICA青年海外協力隊OV(パナマ隊員)
・久米島の地域おこし協力隊員
スペイン語学習者のハードルを下げるために、当サイトを運営しています。一緒にスペイン語の可能性を広げていきましょう。(DELE B1,SIELE 616点所持)
DELE A2 試験概要
読解 | 聴解 | 作文 | 口頭 | |
試験時間 | 60m | 40m | 45m | 12m |
Tarea数 (大問数) | 4 | 4 | 2 | 3 |
問題数 | T1:5問 T2:8問 T3:6問 T4:6問 合計:25問 | T1:6問 T2:6問 T3:6問 T4:7問 合計:25問 | T1:1問 T2:2問 合計:2問 | T1:1問 T2:1問 T3:1問 合計:3問 |
問題比重 | 25% | 25% | 25% | 25% |
1点押さえておくべき点は問題比重が25%と全て同じであることです。これは採点の際に関わってきます。読解と聴解は25問ですので、1問1点ということです。それに対して、作文と口頭は評価基準に沿って採点されます。それぞれの評価項目の点数が0点〜3点で点数がつけられるわけですが、つまり1問の重さが異なるということです。読解での1点と作文での1点は重さが違います。逆に言えば、作文・口頭試験対策をしっかりと行っていれば、合格に近づけるわけです。
読解試験

問題冊子が聴解試験と合冊になっていることについては、公式 Guía において以下のように述べられています。
La prueba de Comprensión de lectura se presenta junto con la prueba de Comprensión auditiva en un único cuadernillo donde aparecen los textos y las preguntas.
DELE A2 Guía, p.8より引用
Tarea1

問題文となるメッセージの内容が『私生活について』なので、普段からネイティブとメッセージのやりとりをしていれば難しくないでしょう。また、スペイン語で日記をつける癖をつけておくことも有効だと思います。
登場人物が何人か出てくるので、“誰が誰に”何をしたのかを把握することが問題を解く鍵になってきそうです。
Tarea2

問題数が8問と多く感じるかもしれませんが、実際には写真のように短い文(TEXTO 0)を読んで、質問に答えていく形式なので、必要な情報を以下に早く見つけることができるかが重要になってきます。
Tarea3
6つの質問があり、それに該当する3人を、長文を読んで見つけていく問題です。3人とも同じテーマについて話すため、『同じようなことを言っている』気がして混乱するかもしれません。
まずは6つの質問それぞれをしっかり押さえて、長文に取り掛かるといいと思う。
Tarea4

上の写真例の問題では『マドリードでの出来事』が書かれています。個人の身に起きたことやそこで何を感じたのか、を拾いながら読めると良さそう。
単語数が400前後ですので、他のTarea に比べると、少し長い文章だと感じるかもしれません。しかし、それぞれの質問に該当する段落を見つけて、内容を照らし合わせることが攻略の鍵になりそうです。つまり段落ごと読み進めることが重要になります。
聴解試験

問題形式は、Tarea4以外は読解試験と同じく、3つの選択肢から1つを選んでいくものになっています。内容についても、日常生活などの身近なものになっています。
単語数の合計は読解試験の単語数よりも少ないですが、質問において何が聞かれているかを把握し、必要な情報を聞き取ろうとする姿勢がないと解けないかもしれません。
Tarea1
該当する写真を選んでいかないといけないので、写真に映っている物がスペイン語で何というのか、語彙力が必要になります。
単語数は多くないので、質問文にしっかりと事前に目を通しておくといいでしょう。
Tarea2

ラジオ放送を通した告知を聞いて、正しい選択肢を選んでいきます。会話形式ではなく、アナウンサーが一人で情報を伝えるので、Tarea1よりも早く感じるかもしれません。
また3つの選択肢がフレーズになっているので、できるだけ事前に目を通しておきたいところです。
Tarea3

6つの問題(6つのフレーズ)があり、それぞれに該当する人物を選んでいく問題です。2人の会話はTarea1,2とは異なり、225〜275と少し長くなります。2人の内どっちが何を言ったのかを正確に聞き取る能力が必要になります。また、『どちらも話していない』という選択肢もありますので、注意が必要です。
なお、登場人物は男女の2人ですので、性別で混乱することはありません。
Tarea4

この問題形式の難しいと思うところは、選択肢が10個あるところ。これまでの3つの中から1つを選ぶ形式ではない。単純に考えると、正解する確率が低くなると思うかもしれない。しかし、実際はA〜Kまでの選択肢の内容はほとんど異なるので、選択肢を絞るのはそこまで難しくないと思われる。
ただし、Mensajeが2回ずつ読まれてどんどん進んでいってしまうので、正確に選べるかどうかが攻略の鍵になってくる。自信を持って、選択肢を消していけるように、事前にA〜Kまでの選択肢に目を通せるかどうかが重要です。
作文試験

作文試験は2つのTareaで構成されていますが、それらは2人の採点者によって評価されます。読解試験と聴解試験は○か×かしかないので、自動で採点されますが、作文試験と口頭試験は採点方法が異なります。
関連 【作文対策の第一歩】DELE A2の評価基準を理解する
また、Tarea1とTarea2の比重は50%ずつですので、内容が難しくなるTarea2の方が点数が高いということはありません。
Tarea1

設定としては、友人などが送ってきたメールなどのメッセージに対して、条件を満たしながら返信をするというものです。その条件とは、メッセージ欄下に書かれている5つです。
これらは例ですが、基本的には同じ構成になります。自分の身の回りで起こったこと(過去のこと)とこれから何をするのか(未来のこと)、質問に対して提案することの3つが正しくできるかどうかが求められます。直説法現在形、過去形、未来形を正しく使い分けられるとまず問題ないです。
Tarea2

Tarea2は、2つのOpciónから1つを選んで、作文をしていきます。書くべき単語数は70〜80と同じですが、問題形式及び書くべき内容が少し異なります。
Opción1は指定されたテーマ(例では『誕生日』)について、必要な情報を盛り込みながら作文していきます。プライベート生活について出題されます。自分の経験を元に書くことができるので、試験準備はしやすいと思います。
Opción2は示された写真やデータをもとに、作文していきます。自分の経験を思い出しながら書くOpción1と異なり、提示された情報を元にテキストを作成していきます。例えば、誕生日について特に書くことがないよっていう人はこちらを選ぶといいでしょう。
これら2つのOpciónはテーマだけでなく問題形式から異なるので、試験対策の段階からどちらか得意な方に絞って、学習してもいいと思います。
口頭試験

各Tareaの時間は2分から3分ですので、非常に短く感じます。面接室に受験者が一人ずつ呼ばれて試験が行われるわけですが、そこには実際に面接を行う「面接官」と後ろでその様子を観察する「採点官」がいます。
重要な点は、その2人の採点比重が異なるところです。公式ガイドにも40:60と明記されています。
El entrevistador otorga dos calificaciones a la prueba completa, una por el Uso de la lengua y otra por el Cumplimiento de la tarea. Su calificación corresponde a un 40 % de la nota final.
El calificador otorga dos puntuaciones a cada tarea, una por el Uso de la lengua y otra por el Cumplimiento de la tarea y dispone de dos escalas, una para las tareas 1 y 2 y otra para la tarea 3. Su calificación corresponde a un 60 % de la nota final.
公式Guía, p.19より引用
つまり、後ろで観察している人の採点の方が点数的には重要です。よく考えてみたら、面接官は試験を適切に行わないといけないので、採点も同時にやるのは難しいのでしょうね。だから、少し比重が低いのでしょう。
とはいえ、私たちができることは面接官に自分の能力を披露することだけですので、試験に集中しましょう。
また、口頭試験が始まる前に12分間の準備時間が与えられます。B1の時は、別室にて準備させられましたので、A2も同じ形式だろうと思われます。面接室に入室したら、受験者の緊張を解す目的で簡単な質問がされます。「名前は?」とか「学生?働いている?」などですね。
Tarea1
事前に与えられた時間を使ってプレゼンの準備をして、面接官の前で発表します。プレゼン内容は、自分が行った旅行など身近な内容です。準備時間中にメモをとったりできますが、それを読みながら発表をすることはできません。チラ見ならOKです。
ちなみにメモは持ち帰れません。普段から、自分の経験を整理して話すことが攻略への近道になりそうです。
Tarea2

写真から読み取れる情報をもとに、質問に答えていく問題です。目で見えることだけでなく、時には想像力も働かせて説明していく必要があります。
例えば、例における質問には ¿Qué cree que han hecho antes? ¿Y qué van a hacer después? とあるように、何があったか、この後どうなるか、などの想像しないと答えられない質問もあります。
Tarea3

Tarea3はシチュエーションでの会話です。例では結婚20周年の両親に対して、子どもたちでサプライズパーティを企画しようという場面です。
会話の中に、受験者が盛り込まないといけない情報が4項目ほどあります。シチュエーションや条件を正しく把握し、会話することは難しく感じるかもしれません。このTareaを攻略するには、実際にネイティブと会話することが一番です。
とはいえ、例えばオンラインレッスンを受けたことがない人が、『ネイティブと話す』ことへ一歩踏み込むには少し勇気がいると思います。筆者は、パナマでボランティア活動をしていた時もなかなか会話ができずに悩んだ時期がありました。最初からうまく話せる人はいません。
筆者はオンラインレッスンを受けたことはありませんが、逆にその立場からオンラインレッスンの選び方について考えてみました。【スペイン語】オンラインレッスンの選び方大全【目的別オススメ】にて解説しましたので「口頭試験の練習をしたい!」、「オンラインレッスンはどう選べばいいのか分からない」という人はぜひ覗いてみてください。
以上です。DELE A2の試験内容について、理解が深まったでしょうか。
試験対策の第一歩は『問題理解・分析』です。今、それが達成できたので、問題集を用いてどんどん問題を解きましょう。問題を解く中で、問題文の傾向や選択肢のクセが見えてきたりします。
もしまだDELEの問題集を持っていない、もしくはどの問題集を買うべきか悩んでいるのであれば【DELE B1】オススメ問題集5社の徹底比較!【サンプル有り】を参考にしてみてください。レベルはB1の記事ですが、それぞれの会社が出す問題集の中身がよく分かりますので、DELE A2を受験する人にも十分参考になるはずです。