直説法未来形は、英語でいうwillを用いた表現と似ています。
この記事では、例文を通して直説法未来形を解説していきます。
単純に未来のことを表現できるだけでなく、「〜だろう」と現在の推測なども表現できますので、ぜひ習得しましょう。
直説法未来形の意味と用法
直説法未来形は、発話時点から未来までのことと関係があります(下図参照)。
未来に起こるであろうことを予測して表現するので、そこには不確かさを含みます。そのため「〜だろう」と言うような推測や想像を表現できます。
はっきりとした未来の出来事や「〜するつもりだ」のような未来の行為に対する意志については、「Ir a+不定詞」を用います。
直説法未来形と<Ir a+不定詞>の違いについては、以下の記事をご覧下さい。
関連 <Voy a +不定詞>と未来形の違いとは?【断定するかどうか】
また、発話時点(現在)において、予測した未来を実現しうるかどうか(可能性)を述べることにもなります。
そのため、「現在の推測」という用法があります。
現在形とか未来形のような言葉にあまり惑わされないようにしましょう。
直説法には他にも、過去未来形という時制がありますが、筆者も最初「過去なのに未来?」と混乱してました。
直説法未来形は現在(発話時点)から未来を考える時制で、直説法過去未来形は過去のある時点からみた未来を示す時制です。
直説法未来形の用法は大きく次の6つです。
直説法未来形の6つの用法
ここからは、直説法未来形の用法について見ていきましょう。
1. 未来の行為に対する意志
未来の行為に対して、「〜するつもりだ」「〜するだろう」という意志を示します。
Compraré un coche nuevo el año que viene.
来年、新車を1台買うつもりだ。
「買うつもりだ」というのは未来への意志になりますので、直説法未来形を用います。
この場合、Compraréの部分を「Ir a+不定詞」の構文を用いて、Voy a comprarにしても似たような表現になります。ただし、この場合確実性が高まり、「ほぼ確実に買う」ことになります。
また、「Ir a+不定詞」は近い未来について述べられるので、状況によってはel año que viene「来年」は適切ではないことがあります(半年後、1年後は近い未来とは言い難い)。
直説法未来形と<Ir a+不定詞>の違いについては、以下の記事をご覧下さい。
関連 <Voy a +不定詞>と未来形の違いとは?【断定するかどうか】
例文では、動詞Comprarが1人称単数形(Yo) Compraréに活用されていますので、話し手の意志が表現されています。
では、第3者が行う事柄について、未来形を用いたらどんな意味になるでしょうか。
それが2つ目の用法「2. 未来の行為・状態の推測」になります。見ていきましょう。
2. 未来の行為・状態の推測
直説法未来形で、話し手自身の未来の行為について述べる場合は、「未来への意志」が表されることは確認しました。
未来の行為や状態の推測とはどういうことでしょうか。例文を見てください。
Lloverá pronto con este tiempo.
この天気ではすぐに雨が降るだろう。
例文では、動詞Llover「雨が降る」が直説法未来形3人称単数形Lloveráに活用されています。
この場合、「天気が降るつもりだ」という未来への意志ではないのは分かりますよね。話し手自身の事柄ではないからです。
天気のように、第3者の事柄について未来形を用いると、「〜だろう」という未来の推測の意味になります。
話し手と聞き手以外の人について述べる、次のような場合も同様です。
Juan se casará con la chica que está sentándose allí.
フアンはあそこに座っている女性と結婚するらしい。
話し手(Aさん)と聞き手(Bさん)で会話の中で、上のような一文が出てきたとします。
2人は、第3者(フアンとla chica)について話しています。
「結婚するかどうか」ということですが、おそらく「結婚するだろう」という推測の場合は未来形を用います。
一方で、「結婚するのが確実」だと分かっている場合は、現在形(もしくは「Ir a+不定詞」)を用います。
簡潔にまとめると、第3者について直説法未来形を用いると「未来の推測」になるよってことです。
3. 現在の推測
章の冒頭でも述べましたが、直説法未来形では、未来に起こるであろうことを予測して表現するので、そこには不確かさを含みます。
そのため「〜だろう」と言うような推測ができるわけですが、これは未来の事柄に限らず、現在の事柄についても可能です。
¿Sabes que María tiene el novio? – No lo sé, lo tendrá.
君はマリアが彼氏いるのか知ってる? – 知らないよ、いるんじゃないかな。
彼氏がいるかどうか分からない場合は、「多分いるんじゃない」的な回答をすることがあります。例文では動詞Tenerが直説法未来形に活用されています。
関連 TENERの意味や用法を11の例文で理解【スペイン語】
4. 譲歩
譲歩というのは、自分の意見を押し通さないで、他人の考えとうまく折り合いをつけることをいいます。
「Aなのは分かるが、Bだと思います」のように、他人の考えに一定理解を示す感じですね。
そして、「直説法未来形 + pero …」で譲歩の意味になります。
Este juego será complicado, pero vale la pena jugarlo.
このゲームは複雑なのだろうが、遊んでみる価値がある。
動詞Serが直説法未来形seráに活用されています。
これを現在形を用いてes complicadoとすると、話し手は「複雑である」と断定することになります。言い換えると、複雑であることを知っていることになります。
そうではなくて、「なんか複雑そう」くらいの推測であれば、未来形を用いてseráにします。
他にも、譲歩を表す接続詞Aunque「たとえ〜だとしても」を用いたフレーズも重要です。
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5. 命令
直説法未来形は、2人称(tú, vosotros)で用いられることで命令を表します。
ここでの命令は、内容と口調によって「依頼・お願い」や「脅迫」の意味になることがあります。
Mañana me devolverás el dinero que me prestaste.
明日、貸したお金を返せよな。
No te moveréis de aquí, ¿vale?
君たち、ここから動いてはいけないよ。
上記の例文は、言い方によって命令っぽくなったり、お願いになったりしますね。
6. Ya+未来形
強調の意味をもつ副詞Yaと直説法未来形を組み合わせることがあります。こちらについてはYaの意味は「もう」ではなく”強調”と覚える【スペイン語】にてまとめていますので、そちらも合わせてご覧下さい。
未来形のもつ不確かさをYaが強めます。現在形を用いる場合と異なり、具体性に欠けるそうです。
Nos vemos pronto.「すぐに会いましょう。」
Ya nos veremos.「近いうちに会いましょう。」
日本語訳だけ見たら、ほぼ同じような感じがします。
再度会うのがほぼ決まっている場合やありそうな時は、現在形を用いるでしょうが、「いつ会うか全然分からないけど、近い将来会いましょう」っていう場合は、そこには不確かさがあるので、未来形を用います。
お別れの際は、Nos vemos.の方が無難ですね。
まとめ
記事の内容をまとめます。
以上です。
未来形のイメージはつかめたでしょうか。何度も言いますが、「未来形」という言葉に惑わされてはいけません。
予測した未来が実現しうるかどうかは、発話時点(現在)にかかっています。
だから、未来は現在と密接な関係にあります。
直説法未来形は、直説法現在形とも当然関連があります。時制を学習する際は、広い視点を持ちたいものです。
参考にした文献は以下の2種類です。
\筆者が主に使用している参考書/