- スペイン語における過去分詞の扱いがよく分からない人
- 過去分詞がどのような時に使われるのか知りたい人
スペイン語の核となる動詞には、不定詞・現在分詞・過去分詞の3つからなる不定形というものがあります。
例えば、動詞Comerなら、不定詞Comer, 現在分詞Comiendo, 過去分詞Comidoになります。
この記事では、過去分詞の作り方(規則形・不規則形)や過去分詞の使い方について解説していきます。
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過去分詞の意味と用法
スペイン語の動詞は活用されることで『時制・人称・数・法』の4点を示しますが、動詞には、活用されずに、これらを示さない非人称形があります。それが不定形と呼ばれるものです。
以下の3つをまとめて『不定形』と呼びます。
- 不定詞
- 現在分詞
- 過去分詞
過去分詞は動詞の形容詞形のことです。そのため、動詞としての性質と形容詞としての性質を両方持っています。
また、基本的に完了の意味をもつので、「完了分詞」と呼ばれることがあります。
過去分詞は『過去』を表現しているわけではありませんので注意してください。
しかし、ここでは『過去分詞』の名前の方が広く知られているので、こちらで説明していきます。
過去分詞の用法は大きく分けて4つあります。
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もっと大まかに分けると、過去分詞は動詞的に働くか、形容詞的に働くかの2つですが、使用頻度の多さなどを考えて、4つに分けて説明していきます。
1. Haber+過去分詞=完了形
この用法は、「3. 動詞的用法」の一部とされていますが、使用頻度の多さから項目を分けて説明しています。
動詞と一緒に用いられ、複合時制(完了形)を作ります。
- 現在完了
- 過去完了
- 未来完了
- 過去未来完了
- 直前過去完了*
*直前過去完了は点過去や過去完了で代用されることが多い。
現在完了
Ya he desayunado.
私はもう朝ごはんを食べました。
過去完了
Ya había empezado la fiesta, llegamos a la casa.
私たちが家に着いた時には、もうパーティーは始まっていた。
未来完了
Mañana su tío habrá traído el regalo para ti.
明日叔父さんがプレゼントを持ってきてくれるだろうよ。
過去未来完了
Juan me dijo que habría tenido una casa nueva dentro de cinco años.
フアンは、5年以内に新しい家を建てるだろうと私に言いました。
2. 形容詞的用法
過去分詞は動詞の形容詞形ですので、形容詞としての性質も持ちます。
ただし、動詞が他動詞、自動詞や再帰動詞のどれかによって、意味が異なります。
他動詞は目的語を伴う動詞。自動詞は目的語がなくても意味が通る動詞。
他動詞の過去分詞は「受動」の意味を持ちます。
Tenemos que recuperar el tiempo perdido.
私たちは失われた時間を取り戻さないといけない。
動詞perderは「〜をなくす、失う」という意味の他動詞です。
例文中のperdidoは形容詞として働き、直前のtiempoを修飾しています。
時間は「失われる」側です。
自動詞・再帰動詞の過去分詞は「能動」の意味を持ちます。
Hay un bebé dormido en la habitación.
部屋には寝ている赤ちゃんがいる。
動詞Dormirは過去分詞dormidoとしてun bebéを修飾しています。
Dormirは自動詞として用いられ、ここでは単に能動の意味になります。
関連 Dormirの基本の意味は「〇〇が寝る」
赤ちゃんは「眠る」側です。「眠られる」のように変に考えないでください。
Juan es el chico sentado con María en el banco.
フアンはマリアとベンチに座っている男の子です。
再帰動詞が過去分詞となり、形容詞として扱われるときは、再帰人称代名詞seは文中に現れなくなるようです。
例えば、例文の再帰動詞Sentarseの再帰人称代名詞seは無くなります。
seは意味だけ残してどっかいっちゃうってことです。
ここまでの基本を押さえて、次の2つの用法を見ていきましょう。キーワードは補語です。
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過去分詞は補語として使用されます。3パターンあります(下図)。
分詞構文に関しては、「4. 過去分詞構文」にて別に説明しています。
過去分詞が形容詞的に働き、主語や直接目的語に「完了」の意味を加えます。
意味を補うから「補語」と言います。形容詞として、主語や目的語を修飾しているわけです。
語順は「主語+動詞+過去分詞(補語)+目的語」です。
主格補語
Monica la esperó preocupada a su hija.
モニカは心配そうに娘を待っていた。
例文中の過去分詞preocupadaは主語Monicaの補足をしています。心配している状態を意味として加えています。
補語というのは、補足しているだけですので、なくても意味が通ります。
Monica la esperó a su hija.「モニカは娘を待っていた」
この場合は、単に娘を待っていただけということになります。
目的格補語
La señora de la fondo me trajo frito el pescado.*
女将さんはその魚を揚げて持ってきた。
*(中級スペイン文法 p.366 )
いい例文が思いつかなかったので、中級スペイン文法から引用させていただきました。
動詞Freírの過去分詞fritoは直後のel pescadoを修飾しています。
事前に話があがった「その魚」を「揚げた(完了)」状態で持ってきたと言うことです。
どんな魚か既に知っている状態で、かつその魚を話題として挙げています。
ちょっと待って。形容詞だし、名詞の後ろから修飾するのと何が違うの?
ニュアンスを汲み取れるように、別の例文も載っています。比較してみましょう。
La señora de la fondo me trajo un pescado frito.**
女将さんは(どんな魚か知らないが)揚げ魚を持ってきた。
**(中級スペイン文法 p.366 )
過去分詞fritoがpescadoを後ろから修飾しています。
「どんな魚か知らないが」というのがポイントなのでしょう。
どんな魚なのかは重要視していないってことになります。
つまり、上の例文と下の例文では、話し手の意識・関心が微妙に異なる気がします。
3. 動詞的用法
ここでは、特定の動詞とセットで用いられる過去分詞の用法を見ていきます。
「1. Haber+過去分詞=完了形」も、ここの動詞的用法の一つですが、使用頻度と過去分詞の使われ方が異なるので、分けて説明していきます。
動詞+過去分詞 | 意味 | 特徴 |
---|---|---|
Ser+過去分詞 | 〜られる | 主語の受け身表現の1つだが文語的 主語と性数一致 |
Estar+過去分詞 | 〜している 〜されている | 主語の完了した状態を示す 主語と性数一致 |
Seguir+過去分詞 | の状態であり続ける | 主語の状態の継続を示す 主語と性数一致 |
Tener+過去分詞 | 〜している 〜してある | 直接目的語の完了の状態を示す 直接目的語と性数一致 |
Llevar+過去分詞 | 〜している 〜してある | 直接目的語の継続の状態を示す (過去から現在までの状態) 直接目的語と性数一致 |
これらのパターンでは、過去分詞は主語もしくは直接目的語と性数一致させる必要があります。
過去分詞は形容詞として働いているって考えて良さそうです。
SER+過去分詞
Los delincuentes fueron detenidos en la ciudad de Naha.
犯人たちは那覇市内で逮捕された。
Ser+過去分詞は、受け身表現の一つです。
関連 例文から学ぶ動詞SERの意味と活用【スペイン語】
Los delincuentes「犯人たち」は逮捕される側なので、ここでは受動態を用いています。
Ser+過去分詞は文語的なので、現在では新聞や雑誌など以外では用いられません。
4. 過去分詞構文
分詞構文とは、現在分詞や過去分詞のような分詞が作る副詞句によって、文を簡略化できる構文のことを言います。
副詞節を導く接続詞(cuandoやaunqueなど)を用いると、主節+従属節=復文になりますが、分詞構文を用いると、同じ意味の表現でも単文にできます。
文を簡単に表現できるってことです。
過去分詞が作る分詞構文は、「時、譲歩、原因」などの意味を表します。
時・原因
Terminada la tarea, salió de compras.
宿題を終えたので、彼は買い物に出かけた。
譲歩
Estudiado al máximo, no pude aprobar el examen.
努力は尽くしたが、試験に合格できなかった。
過去分詞の作り方
ここからは過去分詞の作り方についてみていきます。
規則形のパターンと不規則形のパターンがあるので、それぞれの作り方をしっかり押さえましょう。
規則形のパターン
動詞のパターン | -AR | -ER | -IR |
---|---|---|---|
活用語尾 (どのように変化するか) | -ado | -ido | -ido |
動詞の例 | Trabajar Trabajado | Comer Comido | Vivir Vivido |
動詞には3種類(-AR,-ER,-IR)がありますが、-AR動詞の活用語尾は-adoに、-ER動詞と-IR動詞の活用語尾は-idoに変更します。
不規則形のパターン
典型的な不規則形のパターンは以下の通りです。
ざっくり分けると、-to形と-cho形です。
動詞 | 過去分詞 | 動詞 | 過去分詞 |
---|---|---|---|
Abrir | Abierto | Morir | Muerto |
Cubrir | Cubierto | Resolver | Resuelto |
Escribir | Escrito | Volver | Vuelto |
Decir | Dicho | Freír | Frito |
Hacer | Hecho | Romper | Roto |
Poner | Puesto | Ver | Visto |
上記のパターンに、接頭辞などがついた場合でも過去分詞の作り方は一緒です。
関連 【スペイン語】単語の意味を推測するための接頭辞・接尾辞
例えば、Suponer「仮定する」は、PonerにSu(b)をくっつけているだけですので、過去分詞はSupuestoになります。
よく使う動詞ばかりですので、使っていれば自然と覚えられると思います。
まとめ
記事の内容をまとめます。
過去分詞は、完了形を作ったり、形容詞として働いたりと、その使われ方は多岐にわたります。
だからこそ、ちゃんと把握していないと、文中に出てきた過去分詞がどんな意味なのか理解できません。
この記事で、過去分詞の理解が少しでも深まれば嬉しいです。
もう一つの不定形である現在分詞についても同じように、意味、使われ方や作り方を解説していますので、是非そちらも合わせてご覧ください。
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